訪問看護ステーションのホームページでは、「ネットで情報収集をする時に欲しい情報を載せておく」ことがとても大事です。
なぜなら、利用者さまやそのご家族が、在宅ケアやリハビリテーションのサービスを検討するときに最初に行うのが「ネット検索」だからです。
検索エンジンで事業所名や地域名・サービス名を入力して、その結果からホームページ・SNS・口コミサイトを見ながら比較検討するのが当たり前の時代になりました。
しかし、経営者の方の中には、このような方も少なくありません。
「ネットやパソコン作業にどうも苦手意識があって…」
「正直、何から手をつければいいのか分からない」
実店舗を構えているわけでもない訪問看護ステーションにとって、ホームページやSNS運用が本当に必要なのか、自信を持てないケースもあるでしょう。
とはいえ、現代は情報の多くがデジタル上にあり、検索エンジンで見つけられなければ「存在しない」と言われてしまうほど。
オンラインでの情報提供は欠かせません。
特に、在宅医療や訪問看護を利用する方は、身体状況やご家族の都合などで外出が難しいケースも多いのが実際のところ。
ですから、ネットを通じて必要な情報を得たいと考える方が増えているのです。
今回は、「ネットが苦手でも大丈夫!」という視点を大切にしながら、ホームページ制作の基礎知識と、あわせて無料で活用できるGoogleビジネスプロフィール、さらにSNS運用のポイントをわかりやすく解説します。
今後の事業運営に役立つヒントをぜひ持ち帰ってください。
1.抑えておくべきホームページ制作の基本
1-1. 目的を明確にする
ホームページを作るうえで、もっとも大切なのは目的を明確にすることです。
「何のために作るのか」
「誰に向けて情報を発信するのか」
考えてみましょう。
たとえば、訪問看護ステーションの場合、主なターゲットは以下のように考えられます。
1-1-1.利用者(患者)やそのご家族
サービス内容や料金、利用の流れを知りたい。安心して任せられるかどうかを重視している。
1-1-2.ケアマネージャーや医療機関
地域連携をスムーズに行うため、どのような看護体制で、どの分野に強いのかを知りたい。
1-1-3.地域住民や高齢者支援に関わる方々
地域にある訪問看護ステーションの存在を把握し、緊急時や相談ごとがあればすぐ連絡できるかどうかを大切にしている。
このように、対象者が求める情報は多岐にわたります。
最初に「誰に」「何を伝えるか」をしっかり考えれば、ホームページに掲載するべき情報やデザインの方向性が明確になり、効率的に制作を進められます。
訪問看護ステーションは、利用者ご本人より周囲の人が情報を探すケースがほとんどという特徴があります。
1-2. デザインでステーションの雰囲気を伝える
ホームページのデザインは、訪問看護の「雰囲気」や「安心感」を視覚的に伝える重要な要素です。
訪問看護ステーションに適したデザインとは?
優しい、カッコいいにばかりこだわるよりも、見やすさを重視するのがお勧めです。
理由は以下の通りです。
- 利用者さまのご家族も中高年になっているケースが多い
- ネットが得意ではない方が多いため、わかりやすいことが重要
以下の点に気をつけると、利用者目線で作りやすくなります。
1-2-1.見やすい色・文字サイズ
文字色は黒または濃いめのグレー、背景色は白や淡いパステル調など、コントラストをはっきりさせます。
文字が小さすぎると高齢者の方に読みづらいため、やや大きめを推奨します。
1-2-2.写真・イラストの活用
看護スタッフの笑顔や、ステーションの外観・内観写真を掲載することで、見る人が雰囲気を想像しやすくなります。
過剰な装飾は避け、シンプルで温かみのある画像を選ぶと良いでしょう。
1-2-3.動きは控えめにする
躍動感ある動きは目を引きますが、ネットに慣れていない方にとっては情報入手を困難にさせることがあります。
動かし過ぎて混乱を招いてしまうと本末転倒です。
ですから、動きを出したい場合は控えめでシンプルにするよう心がけましょう。
1-3.ホームページに必要なコンテンツ
1-3-1.ステーション概要(サービス内容・特徴)
訪問看護ステーションの中でも、リハビリテーションや精神ケアなど看護内容はそれぞれです。
ホームページですぐにサービス内容がわかるように対応できる看護内容を掲示しましょう。
また、訪問エリア、専門スタッフの有無などを明確に書き出します。
どのような点が強みなのかをわかりやすく記載するとよいです。
1-3-2.スタッフ紹介
看護師やリハビリスタッフの顔写真と簡単なプロフィールを掲載することで「どんな人がケアしてくれるのか」をイメージしやすくします。
利用者が安心を得られる大きな要素です。
1-3-3.料金・利用方法
介護保険・医療保険のどちらが適用になるのか、自己負担額の目安はどの程度かをシンプルにまとめます。
申し込みの流れや問い合わせ方法も、段階ごとに説明があると親切です。
1-3-4.よくある質問(FAQ)
電話や対面でよく受ける質問を事前にまとめておくと、利用者はスムーズに不安を解消できます。
ステーション側も問い合わせ対応の手間が軽減されるため、よくある質問はお勧めのコンテンツです。
1-3-5.お知らせ・ブログ
新サービス開始のお知らせ、スタッフの研修レポート、イベントの告知などを定期的に更新するコーナーです。
更新頻度が低いと「このステーションは動いているのか?」と不安を招くことになります。
無理のない範囲で継続しましょう。
1-4. 問い合わせ導線を設定する
どんなに良い情報を発信しても、問い合わせ方法がわかりにくければ利用者は途中で諦めてしまいます。
1-4-1.電話番号やメールアドレス、問い合わせフォームへの誘導をわかりやすく
目につきやすいヘッダーやサイドバーなどに大きめのボタンを配置しましょう。
スマホなら、問い合わせボタンを画面最下部などに設置して、スクロールに追従するようにするのも良いです。
1-4-2.問い合わせ後の流れも明示する
問い合わせ後、どのような対応があるのか明示しておくと良いでしょう。
「折り返しのご連絡は2日以内にいたします」
「自動返信メールを送っています」
など、利用者が安心できる仕組みを作ることで、問い合わせのハードルが下がります。
2.Googleビジネスプロフィール(Googleマップ)の活用
2-1. Googleビジネスプロフィールとは
Google検索やGoogleマップ上に事業所の情報が表示される、無料の公式サービスが「Googleビジネスプロフィール」です。
訪問看護ステーションにおいては、自宅から近くの在宅医療サービスを探している方に、自社を見つけてもらいやすくなる大きなメリットがあります。
訪問サービス型の事業でも、Googleビジネスプロフィールに登録できます。
2-2.地域密着の訪問看護にとって地図表示は有利
Googleマップを使って、近所の訪問看護ステーションを探す方は少なくありません。
「訪問看護 地域名」
「在宅医療 地域名」
で検索されたときに、ビジネスプロフィールが表示されるようにしておきましょう。
2-3.無料で利用できる強力な集客ツール
予算が限られる事業所でも、Googleビジネスプロフィールなら「登録無料」で始められます。
設定も比較的カンタンなので、デジタルに苦手意識がある方にこそおすすめです。
2-4.基本的な設定の手順
2-4-1.Googleアカウントの取得
すでにGmailアドレスなどをお持ちの場合は、そのアカウントでOK。持っていない場合はGoogleアカウントを作成しましょう。
2-4-2.ビジネス情報の登録
ビジネス名、住所、電話番号、営業時間、カテゴリー(「訪問看護ステーション」など)を正確に入力します。
ホームページのURLを登録できる欄があるので、忘れずに設定しましょう。
2-4-3.オーナー確認(ビジネスの所有権確認)
郵送でのハガキに記載されたコード入力や電話認証などで、実際にその事業所の関係者であることを証明します。
Googleからの確認方法は多様化しており、登録条件によっては、スマホで動画撮影を求められることもあります。
2-4-4.写真・サービス情報の充実
外観写真やスタッフの写真、サービス内容の詳細などをこまめにアップデートし、魅力的なプロフィールに仕上げます。
2-5.口コミ・レビューへの対応
Googleビジネスプロフィールには「口コミ・レビュー機能」があり、実際にサービスを利用した方が評価やコメントを投稿できます。
ここでの評価は、地域内での信頼度に大きく影響します。
良い口コミをいかに増やすかが、集客にも影響します。
2-5-1.好意的な口コミに感謝を伝える
口コミにはすべて返信しましょう。
「貴重なレビューをいただきありがとうございます。今後もより良い看護サービスを提供できるよう努めてまいります」
といった返信をするだけでも好印象につながります。
2-5-2.低評価には冷静かつ真摯な対応を
悪い評価に感情的に反応するとイメージダウンにつながりかねません。
内容を確認して改善策があれば説明し、丁寧に謝罪・対応する姿勢を見せることが大切です。
Googleマップは集客のチャンスが詰まっています。誰でもできる方法を徹底解説。
2-6.投稿機能を活用する
Googleビジネスプロフィールには「お知らせ」機能があり、イベント告知や新サービスの紹介などを無料で掲載できます。
2-6-1.定期的な投稿で最新情報をアピール
スタッフの研修報告や勉強会、医療・介護イベントへの参加予定などを定期的に投稿すると「活動しているステーション」という印象を与えられます。
2-6-3.ホームページやSNSへのリンクを貼る
投稿の詳細を読むためのリンク先をホームページのブログやSNS投稿に設定しておけば、アクセス数の向上につなげられます。
また、SNSアカウントのリンクを設定できるので、ぜひ所有しているアカウントを登録しましょう。
3.SNSを活用して情報発信する
3-1. SNSを利用する意義は「見える化」
訪問看護ステーションはどうしても「見えにくいサービス」になりがちです。
実際に利用してみないと、どんな雰囲気でケアが行われているのかわからないという方も多いでしょう。
SNSを活用することで、日常的な活動やスタッフの人柄、利用者の変化(プライバシーに配慮しながら)などを発信でき、敷居がぐっと下がります。
3-2.写真や動画で視覚的に伝わる
テキストだけでは伝わりにくい「その場の空気感」や「スタッフの笑顔」なども、写真や短い動画であれば見てもらいやすくなります。
3-3.利用者や医療関係者以外の層にも届けられる
シェアやリポストで友人・知人のネットワークにも広がり、結果的に地域での認知度向上に役立ちます。
また、オンライン上だけではなく、会話の場でアカウントが話題に上ることもあります。
3-4. 発信する内容の例
3-4-1.スタッフの活動・研修レポート
「本日は○○病院主催の勉強会に参加してきました。新しい褥瘡ケアの知識を習得しました」など、成長や取り組みを見せることで信頼感を得られます。
3-4-2.利用者とのエピソード(プライバシーには要注意)
実際に在宅リハビリを受けた方が「歩行が少し楽になった」など、ステーションのサービスで得た改善点を柔らかく紹介するのも良いですね。
写真掲載の際は必ず本人・ご家族の同意を取り、個人情報保護を徹底しましょう。
3-4-3.季節の話題・介護豆知識
「インフルエンザが流行する季節の注意点」
「熱中症予防のための在宅環境」
このように、すぐに役立つ情報は多くの人に共有されやすくお勧めです。
3-4-4.イベントや見学会のお知らせ
「無料相談会」「事業所説明会」などを企画する場合は、積極的にSNSで告知してみましょう。
4.ホームページとSNS活用で成功した訪問看護ステーション
チャコウェブが制作をさせていただいた訪問看護ステーションの中でも、特徴的な作り方をしながらも成功している事例があります。
一般的な、ふわりとやさしい雰囲気から敢えて切り離し、ステーションの理念を表現したホームページです。
その中でも、どのような想いでやっているのか、大切にしていることは何かを明確に打ち出すことで「利用してみたい」「ここで働いてみたい」と思う人を集めることができました。
5.まとめ
医療や介護の現場では、日常業務だけでも大変な労力を必要とします。
そのうえでホームページやSNSにまで力を注ぐのは、最初はハードルが高いかもしれません。
しかし、今やネット上での認知や口コミは、利用者を獲得するうえで欠かせない要素です。
「ネットやパソコンが苦手」
「ITに投資する余裕がない」
これまでご依頼いただいた訪問看護ステーションの方はこのような方も少なくありません。
今は得意と言えなくても、少しずつ取り組むことで着実に効果を得られます。
誰だってゼロからのスタートなのです。
大切なのは「まずやってみること」。
ホームページ制作、Googleビジネスプロフィールの登録、SNS運用をセットで取り組み、在宅ケアを必要としている方々にあなたのステーションの魅力をしっかり届けましょう。