現在では大学の研究室も情報発信が非常に重要になっています。
研究に興味や関心を持ってもらえる人を増やすことで、研究がより活発になり、さまざまな発展につなげられるからです。
研究室ホームページは、世界に向けて情報を発信できる基地としてとても重要な存在です。
しかしながら、大学研究室がホームページを積極的に活用する雰囲気が十分に育っているとはいえません。
東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 国際生物医科学講座 発達医科学様はホームページのリニューアルによって問い合わせが増え、進学した学生数を3倍に増やしました。
今回は、同研究室主任教授のモイ・メンリン氏と共にホームページの作り方や情報発信による効果について振り返りました。
研究分野の発展を目指す方、研究生を増やしたい方必見の記事です。
1.リニューアルによって、発見され理解してもらうホームページを目指す
チャコウェブ:今回ホームページをリニューアル・制作しようと思った背景や理由は何でしょうか?
東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 国際生物医科学講座 発達医科学モイ教授(以下モイ氏):2021年に、第6代教授に着任させていただきました。
既存の研究室のサイトは長らくリニューアルされていなかった事もあり、新しくスタートした研究室の情報発信を行いたいと考えリニューアルを検討しました。
チャコウェブ:以前のホームページはしばらく情報が更新されておらず、研究室で行っている最新最新の取り組みがわかりにくいという課題がありましたね。
2.リニューアル後は進学希望者3倍を達成
チャコウェブ:研究室の情報発信を目的の一つにされていましたが、どのような方にホームページを利用して欲しいと考えましたか?
モイ氏:第一に、新興・再興感染症、母子感染症、ウイルス学等に興味があり、進学を検討している方への情報発信です。
次に、共同研究など研究機関の方々に向けた当研究室の取り組みなどの発信です。
チャコウェブ:研究室という性質上、ターゲットユーザーは研究者や医療関係者、一般の方、学生などさまざまですよね。
モイ氏:すでに学生募集という点では成功しています。
リニューアル後、問い合わせも増えて、国内外問わず進学した学生の数は約3倍になっています。
チャコウェブ:3倍ですか、すごいですね!
3.ぱっと見で研究内容や研究室のイメージを伝える
チャコウェブ:医学研究を扱うサイトとして、特に注意し、工夫を凝らした部分はどのようなところでしょうか?
モイ氏:トップページで研究室のイメージ、研究内容などが、視覚的に伝わることを重視しました。
チャコウェブ:研究分野についてすぐわかるようにすることは弊社でも重視しました。
特に大学の研究室で多いのですが、研究室名を見ただけでは「この研究をしているんだ」とすぐにはイメージするのが難しいことがあります。
そのため、各ページに載せる情報には注意しました。
モイ氏:シンプルでありながら、フォント、アイコン、リンク方法などのデザイン性も希望しました。
最初に企画していただいたデザイナーさんのご提案に満足しています。
チャコウェブ:ありがとうございます。
東京大学のカラーも参考にさせていただき、全体として大学らしさを表現できたのは良かったと思っています。
4.歴代教授の紹介で研究室の取り組みを見せる
チャコウェブ:ホームページ内で特に注目してもらいたいページやコンテンツはありますか?
モイ氏:歴代教授を詳しく載せている研究室は、実際には多くはないのですが、当研究室では情報を厚めに載せている点に特徴があります。
チャコウェブ:お名前、お写真、経歴などがとても詳しく載っていて興味深いコンテンツですよね。
モイ氏:先輩方の功績があって今がありますので、何事もリスペクトが大切だと思っています。
チャコウェブ:研究と研究室に対する真摯な姿勢がよく現れていると感じましたし、これから研究に関わる方にとっても歴史を感じられモチベーション向上につながると思いました。
5.研究の発展に貢献する発信力あるホームページ
チャコウェブ:今回のホームページを活用して、学内外との連携がどのように変化することを期待していますか?
共同研究や情報共有がしやすくなるなど、今後の連携のビジョンを教えてください。
モイ氏:リニューアル後、すでに様々な事で業績に結びついています。
国内外の研究機関との共同研究や視察、進学希望者以外にも、短期留学の希望者なども増えています。
大きなプロジェクトとしては、2024年6月にIAEA(国際原子力機関)本部から要請があり、中東のオマーン国の国家プロジェクトである感染症対策に対し、IAEA感染症専門家として現地へ派遣され、タスクの構築や提言などをおこない国家プロジェクトを軌道に乗せることができました。
チャコウェブ:ホームページを通じて研究室がこれまで以上に認知されるようになったことで、ここまで業績につながったのは本当に光栄に思います。
6.更新しやすくすることでスピーディーに情報発信を実現
チャコウェブ:発達医学分野の情報をより広く発信するために気を付けていることはありますか?
モイ氏:スタッフの新しい業績、研究論文などは、すぐに掲載して発信しています。
チャコウェブ:業績、研究論文をすぐに掲載できるようになったことで発信力が確実にアップしましたね。
モイ氏:はい。
スタッフ一人一人の成果が研究室の発展と、共同研究、新規学生獲得にもつながると考えています。
チャコウェブ:リニューアルによって国内外の共同研究や学生募集に成果が出ていること、さらにはIAEAの国際プロジェクトへの参加など、情報発信の可能性の広がりを改めて実感しました。
モイ氏:そうですね、リニューアルによる効果が出て良かったと思います。
チャコウェブ:本日は、ホームページ制作にまつわる経緯やデザインのこだわり、そして今後の展望など大変興味深いお話をありがとうございました。
東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 国際生物医科学講座 発達医科学の公式コンテンツはこちら
主任教授:モイ・メンリン(MOI MENG LING)
7.ホームページの情報発信で大学の研究室が得られるメリット
今回のインタビューで感じたのは、大学の研究室であっても情報発信力を持たなければ機会を損失している可能性が高いということです。
予算の都合等で充実したホームページを作って情報発信している研究室は多くなく、今後伸びしろがあると考えています。
オンライン上で情報発信をする研究室では以下のようなメリットがあります。
- 興味・関心のある学生を呼び込める
- 国内外の研究機関との連携が強まる
- 新たなプロジェクトのきっかけが生まれる
研究が進むことは社会にとっても恩恵を受けられるため、より多くの研究室が情報発信に取り組めることを願います。
8.まとめ
大学の研究室と言うと一般的にはあまり馴染みがないように思われます。
難しい表現が多いため仕方がないとはいえ、あまりにも認知されなければ研究の発展につながりません。
ホームページによる発信力がつくことで認知を拡大できる点では、一般的な企業ビジネスとほとんど差はありません。
特に世界中からつながりを作れるインターネットは、情報発信の要と言えます。
研究室の発展に貢献するホームページ作りのヒントとなれば嬉しく思います。