放課後等デイサービス(「放デイ」と略すこともあります)は、近年需要が増えており、開所するサービス事業者も増加しています。
そして、インターネットやSNSを活用して情報を得る保護者の方が増えています。
子育てに関する悩みや障害福祉サービスに関する情報を得るとき、まずはスマートフォンやパソコンで検索するケースが一般化しました。
そのため、放課後等デイサービスの事業所が「ホームページを持っていない」「SNSを更新していない」といった状況だと、存在を知ってもらう前に候補から外されてしまう可能性があります。
今回は、放課後等デイサービス事業所の運営に携わる皆さまや、これからホームページを作ろうとされている方々に向けて、「ホームページの作り方」と「地域の利用者に確実に見つけてもらうための情報発信方法」について丁寧に解説します。
この記事を読むだけで、利用者を増やし良好な関係を結ぶコツを学べますので、ぜひ保存したり事業所内で共有していただき、ご活用ください。
お役立ち資料 ホームページ作成からマーケティングのことまでよく分かる
1.放課後等デイサービスは利用者も事業所も増えている
「ホームページを作れば利用者様から問い合わせが来る」時代は終わりに近づいています。
近年、放課後等デイサービスの利用者数と事業所数は急激に増加し、これからは淘汰の時期に入ることが予想されるからです。
放課後等デイサービス利用者数の推移
2017年9月時点の利用者数:226,611人
2020年9月時点の利用者数:400,096人
放課後等デイサービス事業所数の推移
2018年:12,734カ所
2019年:13,980カ所
2020年:15,519カ所
この急速な増加は、それだけ放課後等デイサービスに対する社会的ニーズが高まっていることを示すと同時に、事業所間の競合も進んでいることを意味します。
利用者の視点から見ると選択肢が増える一方で、運営側からすれば「いかに自分たちの強みをわかりやすく伝えるか」がますます重要になってきているのです。
参照:2 障害福祉サービス等事業所・障害児通所支援等事業所の状況 – 厚生労働省
2.いち早く「選ばれる事業所」になるには、ネット上での情報発信が大事
いまや、インターネットで情報を検索しない保護者の方はほとんどいないといっても過言ではありません。
障害児の子育て情報や福祉サービスの種類を調べる際も、まずはスマートフォンやPCで検索するのが当たり前になっています。
そのため、ホームページが存在しなかったり、更新が止まっていたりすると、「必要な情報が見つからない=問い合わせが来ない」という大きな機会損失につながります。
2-1.ホームページで信頼感と安心感を獲得する
ホームページには、事業所の理念や教育方針、スタッフ紹介、活動内容、保護者の声など、公式かつ詳細な情報を掲載できます。
SNSでは追いきれない情報も、ホームページ上ならしっかり整理して伝えることができます。
利用を検討している保護者の方は、「事業所の雰囲気」「スタッフの人柄」「具体的な支援内容」を知りたいと思っています。
ホームページでこれらを丁寧に紹介すれば、信頼感や安心感の獲得に大きく貢献するでしょう。
2-2.ホームページは公式情報の発信拠点になる
SNSだけでは、フォロワー以外に情報が届きにくかったり、時間がたつと投稿が埋もれてしまったりという問題があります。
その点、ホームページは検索エンジンから直接アクセスしてもらえる「公式情報の拠点」です。
必要なタイミングで必要な人がたどり着けるように、情報を整理しておくメリットは非常に大きいです。
3.ホームページに載せると安心される情報
3-1.施設の概要
まずは基本的な情報をしっかり掲載することが大切です。
写真付きで紹介すると、より信頼感が増します。
- 所在地
- 連絡先
- 事業所へのアクセス情報
- 対象地域
- スタッフの人数や資格など
- 事業者概要
3-2.サービス内容やプログラムの詳細
学習支援、運動プログラム、アート活動、コミュニケーション訓練など、どんなプログラムを提供しているのかを具体的に説明しましょう。
子どもの障害特性や年齢に合わせたプログラムの特徴も明記すると、保護者が「うちの子に合いそう」と思いやすくなります。
3-3.一日の流れ
放課後に利用する場合のタイムスケジュールや、休日のスケジュールなどをわかりやすく示しましょう。
送迎時間や自由遊び、学習タイム、おやつの時間など、具体的に書くことで保護者に安心感を与えられます。
3-4.受け入れ方針や対象児童
子どもの障害の種類や程度、医療的ケアの必要性など、受け入れ条件がある場合は明記しましょう。
事前にわかっていると、保護者が「自分の子どもは通えるのか」を判断しやすくなります。
3-5.スタッフ紹介と理念
スタッフがどんな思いで支援しているのか、人柄を感じられるように紹介すると親近感がわきます。
代表者や管理者、児童指導員、保育士、看護師など、保有資格や経歴等を掲載するのお勧めです。
顔写真や得意分野、資格の有無なども記載しておくと良いでしょう。
3-6.保護者の声・利用者の声
すでに利用されている保護者からのコメントやインタビュー形式の「成功事例」を掲載すると、信頼度と説得力がぐっと高まります。
手書きの手紙やLINEでのやり取りを画像で掲載しても良いでしょう。
顔出しをしたくない、個人を特定されたくない方への配慮を十分に行います。
具体的なエピソードがあると、ほかの保護者も安心して問い合わせしやすくなります。
3-7.料金・利用手続き方法
放課後等デイサービスの利用料は、公的給付の対象になるケースが多いとはいえ、世帯収入や利用時間帯などで変わる場合があります。
負担上限額や手続きの流れ(受給者証の取得方法、契約手順など)を整理して掲載しておくと、経済的な不安を和らげられます。
3-8.Q&Aコーナー
よくある質問をQ&A形式でまとめると、利用を検討している保護者の疑問を解消できます。
「送迎範囲は?」「おやつ代は?」「スタッフは常時何名いるの?」など、問い合わせ対応の手間を減らすことにもつながります。
4.ホームページ制作・運用の具体的ステップ
放課後等デイサービス事業所の場合は、長く使い続けることを前提に、相談に乗ってくれる制作会社を選ぶと良いでしょう。
「作って終わり」形式の制作会社の場合、キレイなデザインにはなりますが基本のSEOや集客に関する知識がないこともあるため要注意です。
実績がある制作会社で、かつ運用方針まで見通した提案をしてくれる会社がお勧めです。
4-1.制作会社と共同で「創り上げる」
ホームページを作る際は、以下のようなポイントを押さえておくとスムーズです。
制作会社と一緒に考えて決めても良いでしょう。
丸投げするのではなく、慣れていなくても「考えること」に挑戦する姿勢がとても大事です。
目的・方向性の明確化
「どんな利用者に見てほしいか」「何を伝えたいか」をはっきりさせる。
必要なコンテンツリストの作成
サービス紹介・スタッフ紹介・アクセス情報・料金など、項目を洗い出す。
ブランディングやイメージカラー
事業所の理念や雰囲気に合ったデザインイメージを考える。
4-2.公開後の運用と更新
活動報告の定期更新
イベントや季節行事の様子を写真付きで載せる。
スタッフ情報や保護者の声の追加
人員の変更があった際などにはこまめにページを更新。
SNSとの連動
InstagramやX等の投稿とホームページの記事をリンクさせることで、相乗効果を狙う。
4-3.アクセス解析と改善
Googleアナリティクスやサーチコンソールなどの解析ツールを使って、アクセス数や訪問者がどのページをよく見ているか、問い合わせ数は増えているかなどをチェックします。
分析結果をもとに、離脱率が高いページを改善したり、人気のコンテンツをさらに充実させるなど、継続的な改善が大切です。
5.地域の利用者に見つけてもらうためのGoogleマップ活用
Googleマップは、今では重要な検索ツールにもなっています。
マップに載っている情報をもとに連絡する人もいるため、事業所でしっかり管理しましょう。
Googleマップの管理には「Googleビジネスプロフィール」を使用します。
5-1.正確な基本情報の登録
活用すれば、Googleマップ上や検索結果に事業所情報が表示され、地域の利用者に見つけてもらいやすくなります。
真っ先に行うべきは「正確な基本情報を登録する」ことです。
住所・電話番号・営業時間(利用時間)・ホームページURLなどを正確に登録し、写真を充実させておくと良いでしょう。
5-2.写真や口コミの充実
保護者の方は「子どもを通わせる場所」について、雰囲気を重視する傾向があります。
施設の外観や内装、活動風景などを写真で紹介すると、イメージがつかみやすくなります。
実際に利用している保護者に口コミを書いてもらい、事業所側から返信することで、丁寧さや誠実さが伝わりやすくなります。
6.SNSを活用してつながりを増やす
SNSは今や信頼獲得における重要な情報発信ツールです。
GoogleやYahooなどの検索エンジンだけではなく、「SNSでの情報」を重視する人が増えているからです。
6-1.Instagram
写真や動画中心のSNSであるInstagramは、活動の様子や子どもの笑顔、スタッフとの交流シーンなどを視覚的にわかりやすく伝えるのに向いています。
保護者が見ても「楽しそう」「ここなら安心できそう」と感じられるような投稿を心がけましょう。
6-2.TikTok
比較的若い利用者が多いとされていますが、利用者の年代層は拡大しています。
まずはInstagramと同じ投稿を活用しながらでも構わないので、運用を始めてみるのもお勧めです。
X(Twitter)は拡散性が高いため、教育関連のアカウントや支援学校、子育て支援グループなどをうまく活用すると情報を広げやすいです。
また、代表者など個人の発信拠点として利用すると信頼獲得につながりやすい傾向があります。
Threads(スレッズ)とは、FacebookやInstagramを運営するMeta社が提供している新しいSNSです。
テキストベースなのでX(Twitter)に近いのですが、これから伸びる可能性がありますし、Instagramとの親和性が高いため同時配信での効果も期待できます。
6-4.YouTube(可能であれば)
活動風景や子どもの取り組みを動画で紹介できると、利用を検討している保護者にとって非常にイメージが湧きやすくなります。
施設紹介やイベント動画など、短い映像でも十分効果的です。
6-5.ブログ
ブログ記事は、検索エンジンとの相性が良いため集客の窓口を増やす効果が期待できます。
内容は、保護者の悩みを解決するヒントになるような「情報」を届けるのがお勧めです。
SNSのように流れてしまうものではないため蓄積型の貴重なコンテンツです。
書き続けると資産となるため、長期視点で取り組みたい情報発信です。
7.地域の関係機関・コミュニティとの連携
ホームページやSNS、Googleマップを充実させたら「オフライン」も一緒に強化していくとより効果的です。
地域の子育て支援センターや学校、病院、自治体の障害福祉課にパンフレットを置いてもらい、そこからホームページやSNSにつなげてもらう方法も有効です。
オフラインとオンラインをうまく連動させることで、利用者の接触機会を増やせます。
8.まとめ
放課後等デイサービスは、障害を持つ子どもたちとその保護者にとって、学びと成長、そして安心できる居場所を提供する重要なサービスです。
利用者数がここ数年で大幅に増加し、それに伴って事業所数も急増しています。
選択肢が増える一方で、競合が激しくなる中、「自分たちの強みをどう伝えるか」という情報発信の重要性はこれまで以上に高まっています。
「ネットやホームページは難しそう…」と感じる事業所も少なくありませんが、少しずつでも始めてみることで大きな成果につながる可能性があります。
わからない点があれば、ウェブ制作会社やコンテンツ発信の支援をしている事業者に相談してみましょう。
一人で悩んでしまい、いつまでも手を付けられないなら、思い切って相談するとパッと解決できるかもしれません。
この記事が、放課後等デイサービスの運営に携わる方々にとって、ホームページやSNSを活用した情報発信のきっかけになれば幸いです。
より多くの子どもたちが笑顔で通える場所づくりの一助となることを願っております。