「訪問看護ステーション メンタルラボ」などを運営する、株式会社K&Nのホームページをチャコウェブで制作しました。
さらに、難波取締役にご協力いただきインタビューを実施、ホームページを制作する上で意識したことや、公開後の反響などについて貴重なお話を伺いました。
この記事では、人材確保が難しいと言われる福祉業界でありながら、ホームページを介してたくさんの求人応募を集めているK&Nの事例を紹介します。
株式会社K&Nのご紹介
2021年5月、大阪府大阪市に設立された医療従事者によるベンチャー企業、K&N。
スタッフの得意分野を最大限に活かし実行する自律型の組織として、「訪問看護ステーション メンタルラボ」の開設を皮切りに、訪問看護事業・相談支援事業・研修事業など多様なサービスを提供している。
「従来型のトップダウン運営ではなく、社内ヒエラルキーを限りなくフラットにすることで新たなイノベーションを生む」
「医療・福祉業界のネガティブなイメージを変え、ワクワクしながら働けるようにする」
など、革新的な取り組みを進めている。
ホームページ制作にあたって
ホームページの制作目的
チャコウェブ:まず、ホームページの制作目的について教えてください。
株式会社K&N難波さん(以下難波):お仕事をもらうという役割はもちろんあるのですが、どちらかというとリクルートの部分に力を入れたいと考えていました。
チャコウェブ:求人を主体としたホームページということですね。
今のところ当初の目的は達成されていますか?
難波:そうですね、今のところ。
ホームページを作ってから求人の応募が結構来ているので、成功なのかなと思っています。
デザインを決める上で意識したこと
チャコウェブ:チャコウェブでは、これまでにも訪問看護ステーションのホームページを制作した実績があります。
しかし、今回は今まで制作したホームページとまったく異なるデザインになっています。
どうしてこのようなデザインにしたのでしょうか?
難波:訪問看護に限らず、医療・福祉のホームページは差別化が図れていないと思っています。
どこを見ても雰囲気が似ていて、書いてある内容や理念も含めて同じように感じてしまうため「もう一回見たい」と思うようなページってなかなかないんですよね。
福祉に足らないのはエンターテインメント性だと感じていて。
確かに、エンターテインメントに寄りすぎてもいけない分野だとは思うのですが、どうしても人はワクワクするところに寄ってきますから、そこを意識したものが作りたいと考えていました。
チャコウェブ:確かに、福祉関係だと優しいデザインや「寄り添い」というキーワードを使用したホームページが多い印象です。
難波:柔らかいイメージが多いのは、ご利用者や患者さんをターゲットにしているからだと思います。
ただ、実際のところホームページからお仕事の依頼が来ることってほとんどなくて。
チャコウェブ:そうなんですね。
難波:なので、ホームページの目的をリクルートにするのか利用者の獲得にするのかというところをはっきりさせると、ホームページやデザインの方向性が見えるのかなと思います。
僕はリクルートを目的にしたホームページにしたかったので。
ホームページ公開後
K&Nが感じる反響
チャコウェブ:ホームページを公開して変化したことなどはありますか?
難波:やっぱり、求人応募が増えたのが一番の変化ですね。
ホームページを作ってからずっと自動的に応募が来るような感じなので。
今のところ求人紹介サービスには一切掲載していないんですが、社員が今もう30人ぐらいになりそうです。
チャコウェブ:一切掲載していないのに応募が来るというのはすごいですね!
ホームページに「ブラックスクラブ制度」が掲載されていますが、そういった取り組みにK&Nの特徴が出ていて、とても際立っていると感じます。
難波:応募者は若い方が多いなと感じています。
若手だけでやると決めているわけではないんですが、そういった取り組みやホームページの雰囲気を見て若い方が応募してくれることが多いようです。
チャコウェブ:確かに、スタッフインタビューに出ている方も年齢層は若めですよね。
難波:そうですね。30代が一番多いのかな?
そんな感じですね。
チャコウェブが感じる反響
チャコウェブ:福祉業界の方と打ち合わせしていて、最初はやっぱり「あったかい感じのホームページにしてください」って言われるんです。
それで「何か制作例ありませんか?」と聞かれたときに、K&Nのホームページを出すとびっくりされます。
でもそのあと「うちもこういう感じでいこうかな」となることが結構あります。
難波:そうなんですね。
チャコウェブ:ですから、K&Nのホームページは最先端なんじゃないかなと思っています。
同業他社と差別化できた秘訣は?
チャコウェブ:福祉業界は人材不足だとお話しされるお客様が多いので、そういった状況で応募がたくさん来るというのはすごいことだと思います。
K&Nのホームページは差別化に成功しているということでしょうか?
難波:他社のホームページを見ていて思うのは、誰が働いてるか分からないし、内容もテンプレのようになってしまっているということです。
真っ向勝負だとレッドオーシャンと言われる業界ではありますが、少し差を付けただけでこうやって応募が来たりするのである意味ブルーオーシャンだと思っています。
チャコウェブ:なるほど。
確かにスタッフさんのお写真がたくさん掲載されていて、K&Nのホームページは働いている方の顔が見えるようになっていますよね。
ただ、これに抵抗はありませんでしたか?
顔を出すのは苦手という方もいると思うのですが・・・。
難波:抵抗のある人もいると思います。
だからこそ、そういう人は自動的に応募して来ない仕組みになっているのかなと思います。
チャコウェブ:つまり、ホームページでしっかり特徴を出すことにより、会社のカルチャーにフィットした人が集まってきてくれるんですね。
難波:そうですね、ある程度見極めてから応募してくれるのかなと思います。
ただ、ある意味それで絞り込んでしまっているのはもったいないことかもしれないですね。
顔を出さずに働きたい人が応募しづらい状態になるので。
でも、あれも必須ではないんですよ。
働いている雰囲気が分かれば良いと思うので、横顔でも後ろ姿でも別にいいのかな、と思います。
チャコウェブ:戦略的で、すごく面白いですね。
難波:そうですね。
会社を立ち上げるときから「こうすれば頭一つ抜きん出るんじゃないかな」みたいなのはあったので。
でも、その辺のさじ加減が難しい業界だと思うんですよ。
例えば、業種によってはSNSでスタッフが踊ってたりとかするところもあるじゃないですか。
チャコウェブ:はい。
難波:でも、看護師さんが踊っているのを見て、そこで働きたいって思うのかなって。
もしかしたら踊ってるとこもあるのかもしれないですが。
でも、僕はそれを見て応募はしないし、仕事を依頼する立場だったとしても別に依頼はしないかなと。
チャコウェブ:そうなんですね。
難波:だから、俯瞰して方向性を決めていくってすごい大事だなと僕は思うんですね。
エンターテインメント色が強すぎても良い結果にならないと思うし。
そのさじ加減が分かるのは、僕が看護師でもあるからかなと思います。
「ここまではふざけてもいいけど、ここは真面目にした方がいいだろう」っていうさじ加減ですね。
今後の展望
チャコウェブ:今後の展望についてお聞きしたいです。
現在、福祉業界は事業者さんが増えているのかなという印象があるのですが・・・。
難波:もう増え過ぎなくらいですね。
チャコウェブ:そうなんですね。
増え過ぎなんですか?
難波:増えすぎですね、もう供給過多というか。
乱立しては潰れているような状態です。
しかも、乱立している分労働力が分散してしまっているような状態だと思います。
だからこそ、うちはある程度の大規模化を狙っています。
チャコウェブ:長期的に大規模化を目指しているのですね。
難波:そうですね。
大阪市内に何店舗か作りたいと思っています。
エリアを細かく分けることで、スタッフの移動距離や負担を減らすのが目的です。
1店舗から色々なところに行ってもらえる方が経営的には助かりますが、スタッフがずっと働ける環境を整えていくことが生き残る戦略なのかなと思って。
ちょうど今も店舗を作っています。
チャコウェブ:先日、ブログで拝見しました。
結構大きい建物ですよね。
難波:だいぶ大きいですね。
大阪市内では、なかなか大きい方になると思います。
ただ、そこだけではなく各店舗それぞれそれくらいのポテンシャルを持った事業所を作れたらいいなと思っています。
「K&Nの事業所ってこういうもんなんだな」ってイメージできるぐらいにはしたいかな。
あとは、そうですね。
それほどしっかり案があるわけではないですが、いくつかやりたいことは考えています。
創業秘話
(左から)株式会社K&N 代表取締役 桂氏、取締役 難波氏
チャコウェブ:少し話が逸れるのですが、代表取締役の桂さんと組み始めたきっかけや、どういう感じでK&Nの戦略が決まっていったか聞いてみたいです。
難波:僕がまず事業を始めようかなと思って、でも1人でやったらだいぶ時間がかかるなと。
僕は苦手なことがいっぱいあるので、誰かと一緒にやった方がいいのかなと思ったんですよね。
ただ、やっぱり共同経営ってあんまりうまくいってないところが多くて、誰に相談しても喧嘩別れが多かったり金銭トラブルがあるって聞いて。
それで、これは人選がすごい大事だなと思った中で、思いついたのが桂だったんですよ。
彼とは、看護師として病院でずっと一緒に働いていたのでどういう人物か分かっていましたし。
もちろん、看護師だったら誰でも良かったわけではありません。
看護が大事っていうのももちろん分かるし、経営面も大事だっていう感覚が似ている人じゃないと成り立たないと思ったので。
その中で桂が思いついたので、彼の夜勤明けに家に呼びつけて(笑)
「こういうプランがあるから一緒にやらないか」って言って。
彼にも家族がいるのですぐに返事はもらえないだろうと思っていました。
でも、その日の夜に返事をくれたんですね。
チャコウェブ:いやー、すごいですね。
難波:トントン拍子でしたね。
僕はこうやって新しいことを思いついたり戦略を色々思いつくような人間ですが、社労士さんとのやり取りや雑務が得意ではないので・・・。
組織を作るっていう部分について僕はすごく弱いのかなと思っています。
そこに関して力を借りているという感じですね。
チャコウェブ:ちゃんとバランスが取れているんですね。
難波:そうですね、全然タイプが違うので。
チャコウェブ:K&Nのロゴに2羽の鷹がいますよね。
1羽がすごい羽ばたいていて、もう1羽はすごい冷静なんですが、冷静な方が桂さんで間違いないですか?(笑)
難波:そうです、そうです(笑)
チャコウェブ:なるほど(笑)
いやー、すごい面白いお話をいただきました。
ありがとうございます!
まとめ
人材確保が難しいと言われる福祉業界でありながら、ホームページを介してたくさんの求人応募を集めているK&Nの事例を紹介しました。
求人中心のホームページにすると目的を定めた上で、どんな会社なら働きたいと感じるかを俯瞰的な視点で考え実行することが同業他社との差別化に繋がったとのことです。
また、会社の特徴を全面的にホームページでアピールすることにより、その社風に合う人材の応募が自ずと増えていくという運営方法もとても戦略的です。
さらに、横顔や後ろ姿でも良いので働いている人の雰囲気が伝わるような写真を掲載するというのは、ホームページの目的や業種に関わらず、信頼を獲得する上で重要となります。
こういった取り組みが、人材確保に成功している要因であると分かる貴重なお話でした。
難波取締役、ご協力ありがとうございました!