インターネットで情報収集をするのが当たり前になった今、企業にとってホームページは名刺代わりどころか、「会社の顔」とも言うべき存在です。
商品やサービスの購入前に公式サイトをチェックするのはもちろん、求職を検討している人が会社のホームページで社風や仕事内容を調べるのも今や当たり前。
ところが、中小企業のなかには「5年、10年前に作ったホームページをそのまま放置している」というケースがよく見られます。
あなたの会社、以下のどれかに当てはまっていませんか?
- ホームページがまったく更新されておらず、古いデザインのまま
- 会社情報が最初に作ったときから変わっていない(沿革や事業実績なども更新なし)
- 求人情報を載せる欄がなく、採用に結びついていない
このような状態だと、せっかくWeb検索で見つけてもらっても「なんだか古くさい会社だな」「ここは大丈夫かな?」と不安に思われる可能性が高くなります。
特に最近では、求職者がまずその会社の公式ホームページを確認するという流れが主流です。
もしホームページが、会社の実態を伝えきれていない古い情報のままではどう思われるでしょうか?
潜在的な応募者や顧客を取りこぼすことになりかねません。
実際、チャコウェブでご相談いただくお客様からは、ハローワークだけで求人を出しても、思うように人が集まらないという声が増えています。
その背景には「応募者が、求人票とあわせてネットで会社の評判や情報を調べる」という行動パターンが定着しているからです。
もし会社のサイトが古く、求職者が魅力を感じられる内容になっていなかったら、「この会社で本当に大丈夫かな?」と不安に思われてしまうでしょう。
本記事では、そんな中小企業の経営者の方々に向けて、ホームページをリニューアルすることで得られるメリットや具体的な取り組み方を解説します。
特に「集客」と「採用」という2大課題を同時に解決し得るホームページリニューアルのポイントを、具体例を交えながらご紹介します。
1.なぜホームページのリニューアルが重要なのか?
「そもそも、現状のホームページで十分では?」と思われることもあるかもしれません。
しかし、以下の理由から今まさにリニューアルすべきタイミングが来ている企業は少なくありません。
自社ホームページのチェックにお使いください。
1-1.ネット検索が主流の時代で埋もれてしまうリスク
商品・サービスを探すとき、最初の一歩はインターネットでの検索から始まるケースがほとんどです。
企業同士の商取引も、一般ユーザーの消費行動も同じです。
「〇〇(業種や製品) 会社名」「〇〇(サービスジャンル) 地域名」
例えばこのようなキーワードで調べたとき、検索結果で上位に表示されなければ、存在そのものが見過ごされてしまうリスクが高いといえます。
たとえホームページが検索上位に入ったとしても、内容が古いままだったり、そもそもどのような事業をしているかが分かりにくかったりすれば、ユーザーはすぐに他社のサイトへ移ってしまいます。
1-2.採用にもつながる見られるホームページの重要性
いま、求職者の多くは求人サイトやハローワークの情報だけでなく、「実際にどんな社風なのか」「どんな人たちが働いているのか」をホームページやSNSを使ってじっくりチェックするのが普通になっています。
「本当にこの会社は成長意欲があるんだろうか?」
「働きやすい環境なのかな?」
ホームページが古いまま放置されていると、このように漠然とした不安を抱かせてしまうかもしれません。
逆に言えば、リニューアルでしっかり情報を整備し、魅力をアピールできるサイトを作れば、それだけで競合他社と差をつけることができます。
特に製品・サービスの特徴や社員インタビューを充実させると、求職者は「自分が働くイメージ」を持ちやすくなり、応募意欲をかき立てられるでしょう。
竹村俊助氏は、書籍で情報発信により採用がうまくいく事例を紹介しています。
参考:『社長の言葉はなぜ届かないのか? 経営者のための情報発信入門』竹村 俊助 (著)
人生の中でも転職は大きな出来事の一つ。
ですから、求職者が念入りに情報収集をしていく様子が描かれます。
しかしながら、満足するほど情報発信をしている企業が少ないと言及されているのです。
まさに今多くの企業は人手不足、採用に悩んでいるにも関わらず、求職者のニーズにこたえられていない状況が見て取れます。
2.まずは現状を把握しよう
「とりあえずホームページがあれば何とかなる」と思っていた時代はもう過去のものです。
リニューアルの第一歩は、自社のホームページがいまどういう状態にあるのかを客観的にチェックすることから始まります。
- デザインは古くないか?
- モバイル・スマホ対応はできているか?
- 掲載している情報は最新かどうか?
- 掲載内容はユーザーのニーズに合っているか?
こうした点を確認し、「今のサイトが抱えている問題点」を洗い出す作業はとても重要です。
3.ホームページが解決してくれる2大課題「集客」と「採用」
中小企業が抱える経営課題の中でも、集客と採用は特に大きなウェイトを占めるのではないでしょうか。
ホームページをリニューアルし活用を強化することで、この二つの課題を同時に解決できる可能性があります。
3-1.集客面:広告費削減や新規顧客との出会いを増やす
オフラインの集客方法には、チラシ・DMの送付や展示会出展、新聞広告などがあります。
そして多くの場合、まとまった広告費がかかります。
広告は費用捻出を止めれば、効果も停止します。
一方、ホームページはうまく育てることで、24時間365日休むことなく顧客との接点を作れるため、広告費を抑えられる可能性が高まります。
広告のように「費用捻出を止めれば効果もそこまでで終わり」とはならないのが嬉しいですね。
SEO(検索エンジン最適化)対策を行うことで、自社の製品やサービスに興味を持つ人が効率的に集まる仕組みも作れます。
また、SNSやブログを活用して情報を発信すれば、検索エンジン経由で今までは接点がなかった新規顧客とも出会えるチャンスが増えるでしょう。
3-2.採用面:求職者が安心して応募できる情報を提供できる
若い世代や転職希望者は、企業選びで「社風」や「働く環境」に大きな関心を寄せています。
たとえば職場の雰囲気や、一緒に働く仲間の人柄が見える動画や写真、メッセージなどがあると、求職者は安心して応募に踏み出すことができます。
「ここなら自分の力が生かせそうだ」
「社内の雰囲気が良さそうだ」
このように感じてもらうためには、きちんとホームページ上で情報を整備し、会社の理念や具体的な取り組み、福利厚生などをわかりやすく発信することが大切です。
4.押さえておきたいリニューアルの基本ステップ
「ホームページのリニューアルをしよう」と決めても、どこから手を付けていいかわからないかもしれません。
リニューアルの基本ステップを5つに分けて解説します。
これらはホームページの成功を左右するとても重要な段階です。
しかし、自社スタッフだけで行うのは難しいかもしれません。
ウェブに詳しい人や、制作会社のディレクターのサポートを受けましょう。
4-1.目的(ゴール)の明確化
最初に必ず行うべきなのが、ホームページを「どのように活用したいか」というゴール設定です。以下のような質問を自社内で共有しましょう。
- 営業ツールとして利用し、問い合わせ件数を増やしたい
- 求人の募集をしたい
- 商品やサービスを広く知ってもらいたい
ゴールが曖昧では、どれだけ手を加えても使えるホームページにはなりません。
ゴールを先に決めることは、設計や制作の際に絶対に外せないポイントです。
4-2.ターゲットの設定
自社のターゲットとして、どのような顧客層・人材層に見てもらいたいのかを絞り込みます。
ここでは、想定するユーザーの年齢層、地域、悩みや課題などを明確にすることで、コンテンツの方向性やデザインの雰囲気も固まってきます。
さらに絞り込んでペルソナを設定するのもおすすめです。
ペルソナについては詳細を解説している記事をご覧ください。
4-3.サイトマップと導線設計
次に、ホームページの各ページをどのように配置し、どのような順番でユーザーに見てもらうかを考えます。
- 会社の概要・理念・沿革など基本情報をまとめた「会社案内」
- 商品・サービスの詳細紹介
- 求人・採用情報
- お問い合わせフォーム
このような感じです。
そしてページ同士のリンク構造をわかりやすく設計し、目的の情報にすぐにアクセスできる導線を用意します。
これはユーザーのストレスを減らし、コンバージョン(問い合わせや応募)を増やすための重要な作業です。
4-4.コンテンツの充実と定期的な情報発信
ホームページの基本情報を整理し、さらにブログやニュース、SNSなどで定期的に情報発信する仕組みを作ります。
記事やニュースを更新すると検索エンジンからも評価されやすくなるので、SEO対策としても効果的です。
新商品の発表や社内の行事、スタッフ紹介など、更新ネタは社内に目を向けると意外と豊富にあります。
4-5.デザイン・使いやすさ(アクセシビリティ・モバイル対応)
最後に、デザインとユーザビリティを最適化します。
スマートフォンで閲覧するユーザーが多い以上、モバイル表示の最適化は必須事項です。
加えて、障がいのある方や高齢の方にも利用しやすいアクセシビリティ対応を行うことが、今後ますます重要視されていきます。
5.リニューアルで強化すべきポイント1 わかりやすい会社案内と事業内容
5-1. 「会社を透明にする」つもりで情報を載せる
中小企業のホームページを見ていると、「事業内容」や「会社概要」が必要最小限にしか記載されていないケースは珍しくありません。
しかし、ユーザーや求職者は思った以上に会社の内情に興味を持っています。
自社が力を入れている技術やサービス、取り組みについて、どこよりも詳しく説明するくらいの意識が大切です。
たとえば、このような点に着目し丁寧に情報を載せます。
- 主要な製品やサービスの説明(写真・動画を活用)
- 他社にはない強み(実績・ノウハウ・スタッフのスキルなど)
- 社内制度や福利厚生、研修体制(採用面で有利)
- 働いている社員の声やインタビュー
これらの情報が充実しているだけで、競合他社と比較した際に「こちらのほうが魅力的に見える」という評価を得られる可能性が高まります。
5-2.社風や理念が伝わる会社案内ページ
特に採用のためには「どんな会社か」が伝わることが重要です。
求職者視点なら、「企業理念に共感できるか」「社員の雰囲気は良さそうか」を知りたいもの。
- 代表メッセージ
- 経営理念やビジョン
- 創業ストーリーや沿革
これらをしっかり掲載することで、「ここで働いてみたいかも」というきっかけをつくれます。
新規開業時の企業の方は、歴史や実績がないことで悩まれる方もいますが、このような理念やビジョンは創業時から語ることができます。
自社が発信できることや思想と行動していることを伝えていきましょう。
6.リニューアルで強化すべきポイント2 問い合わせ・応募導線の最適化
6-1.ボタン配置やフォームをわかりやすくする
ホームページはキレイに作ることや、情報を充実させる以外にも成果につなげられるものがあります。
それが「導線」です。
ホームページの最終目的が「問い合わせ」や「応募」であるなら、それらへの動線をきちんと設計することが欠かせません。
- ヘッダーやサイドバーなど、どのページからでも問い合わせフォームへ行けるようにする
- 電話番号をわかりやすく表示し、クリックで発信できる仕組みを整える(スマホ対応)
- 応募フォームを簡素かつ必要十分な項目だけに絞り、途中離脱を防ぐ
このような配慮が必要です。せっかく興味を持ってくれたユーザーが、問い合わせフォームや応募フォームの場所がわからずに去ってしまっては大きな機会損失になります。
6-2.コンバージョンしやすい導線設計
コンバージョン(問い合わせや応募、資料請求など)を起こしてもらうための導線設計を行いましょう。
- 商品・サービス紹介ページの最後に「お問い合わせはこちら」ボタンを目立つ色で配置
- 社員インタビューの最後に「採用情報はこちら」バナーを配置
- お客様の声(事例紹介)ページからお問い合わせフォームへの流れを作る
こうしたちょっとした工夫が、ユーザーの行動を後押しします。
7.リニューアルで強化すべきポイント3 情報発信(ブログやSNS)の継続
7-1.ホームページは受け皿、情報発信は呼び込み
ホームページをただ作るだけでなく、定期的な情報発信は今や欠かせません。
なぜならホームページはあくまで受け皿として、企業の公式情報をきちんと整理して載せておく場所。
一方、ブログやSNSなどの運用で呼び込みを行うことで、より多くの人に自社を知ってもらう仕掛けを作るのです。
ブログ
業界の最新動向、製品やサービスの使い方、社内のイベントレポート、スタッフの日常など、多彩なトピックが書けます。
検索流入の窓口としても優秀です。
SNS(Instagram、X(旧Twitter)、Facebookページ、YouTube、TikTokなど)
写真や動画での発信が得意。
自社がどんな活動をしているのかを届けられます。
イベント告知や製品リリースのお知らせ、採用情報の拡散などにも活用しやすい。
7-2.社員・現場の声など生きた情報こそが信頼を構築する
特に中小企業にとっては、「人」が最大の強みとなることもよくあります。
社員がどのような想いで働いているのか、会社が社会的にどのような価値を提供しているのか。
これらを継続的に発信することで、顧客や求職者との距離を縮められます。
- スタッフの専門的な知見やノウハウを紹介する記事
- 社内イベントのレポート
- 地域貢献やボランティア活動の紹介
こうしたコンテンツはSEO対策にもなりますし、閲覧者が企業に親近感を持ってくれる要素にもなります。
8.リニューアルで強化すべきポイント4 アクセシビリティ対応
8-1.障害者差別解消法とホームページの関係
2024年以降、障害者差別解消法に基づくホームページへのアクセシビリティ対応が一段と求められるようになりました。
高齢者や障がいのある方でも情報にアクセスしやすいサイトを作ることは、今後企業としての社会的責任を果たす上で避けられない課題です。
法的責務を果たす意味合いでもありますが、今後はあらゆる人が使いやすいホームページを構築しておくことは、自社にとっても大きな利点になるはずです。
8-2.早めに対応すれば差別化にもなる
これらの対応はさまざまな側面から評価される効果も期待できます。
例えば、文字サイズの拡大機能や色のコントラスト調整、画像の代替テキスト設定など、アクセシビリティ対応をしっかり行っているサイトは「ユーザーフレンドリー」として評価されやすくなります。
また、検索エンジンから見ても構造化されたサイトは評価されやすく、SEO面でプラスに働く可能性もあります。
アクセシビリティを実装することで年配の方やスマホ操作が苦手な方にも優しく、結果としてサイト全体の利用度が向上することが期待できます。
9.【事例紹介】リニューアルでウェブ経由の受注が実現した建設会社
解体工事を事業としている竹内建設さまは、10年ほど前にホームページを制作したものの、うまく活用に至っていませんでした。
中小企業診断士が間に入り、集客を目的としたホームページにリニューアルしたところ、ウェブ経由の集客が毎月10件発生し、受注率も向上。
営業予算を増やすことなく受注件数が増えたことで利益増となりました。
現在、採用強化のためのホームページ改善やコンテンツ発信の取り組みを開始し、さらにウェブの活用を勧めています。
10.まとめ
ネットで情報収集する時代において、ホームページが古いままだと、せっかくの集客や採用のチャンスを逃しかねません。
リニューアルを検討する際は、まず自社がホームページで何を達成したいのか(集客増加か、採用活性化か、ブランド強化か)をはっきりさせましょう。
コンテンツの充実、導線設計、アクセシビリティへの対応などを丁寧に行えば、古いホームページが「24時間働く営業担当」や「安心感を与える採用ツール」へと生まれ変わります。
プロと連携する際には、事前に社内の情報整理を行い、ゴールや要望を明確に伝えることが成功へのの近道です。
そして、ホームページのリニューアルは最終ゴールではなく、新たなスタートと考えるのがよいでしょう。
公開後は定期的に更新し、情報発信を続けることで、さらに大きな集客力・採用力へと育てていけます。
「うちはネットが苦手だから……」
と尻込みせずに、まずは小さな一歩から踏み出してみませんか?
きちんと取り組めば、ホームページはあなたの会社にとって最強の“成長エンジン”になるはずです。
ぜひこの機会に、リニューアルで新しい可能性を切り開いてください。