建設業界では人材不足が深刻化しています。
「ギリギリの人数で対応している」
「今は何とかなっているが、そろそろ本格的に対応しないと厳しい」
業界の方からも、このような声を聞くことがあります。
こうした中で、自社の魅力をオンラインで発信し、求職者にアピールすることの重要性がますます高まってきました。
特に、ホームページのリニューアルやSNSを活用することで、若年層や他業界からの転職希望者に向けて効果的に情報を届けることができます。
しかし、建設業だけではないですが、ネットを得意としている人材に恵まれている企業は少数です。
「全然わからない…」
「どこから何をすればいいの?」
「とにかくアドバイスが欲しい」
このように悩みながら、なんとかしようと行動を始めている状況です。
今回は、建設会社が採用に強いホームページを作る際のポイント、SNSの活用で採用力を高めるための具体的な取り組みについて解説していきます。
現場の魅力を発信できれば、応募者数が増えるだけでなく、社内外のイメージアップにもつながります。ぜひ社内の取り組みを見直すきっかけとしてお役立てください。
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1.なぜオンライン施策が重要なのか?建設業界の採用環境から紐解く
建設業は、特に人材不足が深刻化している分野として知られています。
理由は、作業現場の高齢化と若年層の減少が多いようです。
実際、建設就業者の平均年齢は高く、熟練技術者が大量退職する2007年問題が叫ばれた時期以降、慢性的な人員不足に悩まされてきました。
需要はあるのですが、若い世代が「3K(きつい・汚い・危険)」という従来イメージを敬遠し、他業種へ流出しがちな傾向も相まって、求人難が続いています。
1-1.中小建設企業が直面する採用コストの高騰
求人広告費や人材紹介手数料などの外部コストが跳ね上がるケースも珍しくありません。
人材獲得難易度の高い建設業では一人当たり数十万円規模のコストは不可避となっており、中小企業にとって大きな負担となっています。
離職率も高い建設業では厳しい状況。
限られた予算の中小企業ほど「より効果的に求職者に訴求する方法」を確立していく必要があります。
1-2.人材確保にはデジタルの活用が不可欠
今の求職者は、企業探しの際にスマートフォンやSNSを使った情報収集を当たり前のように行います。
特に20〜30代の若手層は、オンラインに情報がない企業に対しては信頼が低くなる傾向があり、いかにオンライン上で情報発信を充実させるのかが重要です。
ホームページやSNSで情報を見つけてもらえなければ、そもそも候補にすら入らない可能性が高いのです。
2.オンラインでの情報発信が生むメリット
2-1.認知度の向上
ホームページやSNSは、24時間365日活動するパワフルな広報であり営業です。
地方に拠点を置く中小企業でも、工夫次第で多くの人に自社を知ってもらうチャンスがあります。
SNSは、「興味・関心」がある人に閲覧してもらう仕組みができていますし、特定地域の情報を探している人に表示させることも得意です。
地理的な制約を超えて広い範囲の求職者へアプローチできます。
2-2.他社との差別化
オンライン上での企業情報発信が充実していることで、同業他社と差別化が図りやすくなります。とりわけ小規模・中小企業の場合、まだまだ充実したオンラインプレゼンスを発揮している企業は多くありません。
だから今がチャンス。
現場の魅力的な写真やストーリー性あるコンテンツを載せることで、人材を惹きつけられる可能性が高まります。
3.採用に強いホームページを作るポイント
具体的にホームページを整える際に押さえておきたいポイントを解説します。
自社ホームページを「ただの会社概要」だけで終わらせず、採用を意識した作り込みを行うことで、応募者との距離がぐっと近づくはずです。
3-1.トップページの役割を理解する
トップページは、初めて訪れた人に「どんな会社か」「なにをしているのか」という印象を与える大切な場面です。
建設会社の場合、実際の現場の写真や動画があると、「どんな仕事をしているか」がひと目で伝わります。
そして、興味があるコンテンツにスムーズに移動できるように導線を設計しておくことで、離脱を防ぐことができます。
さらに、採用ページへの導線をわかりやすく設置しておきましょう。
メニューの一番上に「採用情報」や「RECRUIT」といったタブを用意することで、求職者がすぐに興味を深められる仕掛けを作れます。
3-2.採用ページを充実させる
採用ページに大事なのは「どんな働き方ができるのか」を具体的にイメージさせることです。
下記の内容を盛り込むと、応募意欲を高めやすいでしょう。
社員インタビュー
若手社員・中堅社員・ベテラン社員など、複数の立場からの声を載せる
仕事内容・キャリアパス
1日の流れや3年後・5年後のキャリアイメージを提示
給与・待遇・福利厚生
入社後に直面する生活面の不安を払拭する
職場の雰囲気
社員旅行や行事、日常風景などを写真で公開
3-3.ホームページ全体で企業の魅力を発信する
採用ページだけでなく、企業全体のホームページで建設業ならではの魅力を発信することが大切です。
たとえば、施工実績ではプロセスや工期の様子を写真や簡単な図解で見せるのも良いでしょう。
「仕事のやりがい」や「達成感」を伝えやすくなります。
会社概要ページでは、企業の理念や社会に対する働きかけの意思表示をすると、求職者が会社のイメージを持ちやすくなります。
社員の仕事観やチームワークを伝えるエピソード、教育・研修体制なども盛り込むと「将来像」をイメージしやすくなるでしょう。
4.自社の魅力を伝えるためのコンテンツ作り
オンラインでの採用活動を成功させるには、自社ならではの魅力や強みをしっかり言語化し、わかりやすく発信することが欠かせません。
4-1.企業らしさを伝える
企業らしさを形作る上で、経営者やリーダーの想いを社員や社会に共有することは大切です。
- 創業の歴史や会社が大事にしている価値観
- 安全への取り組み
- 地域社会への貢献
これらを明確に提示すると、求職者が「ここで働きたい」と感じる共感ポイントを得やすくなります。
4-2.求職者目線の疑問を先取りする
建設業界に限らず、求職者が最初に知りたい情報は「給与や休日、昇給など待遇面」が大きな割合を占めます。
また、建設会社の場合は「危険作業の安全対策」「資格支援やキャリアアップ制度」など、専門性の高い内容も関心の的になることが多いです。
こうした疑問を事前に拾い上げ、採用ページやFAQを充実させると、応募ハードルが下がりやすくなります。
今働いているスタッフにインタビューし、「どのような疑問があったか」など聞いてみましょう。
今のスタッフがペルソナとなります。
4-3.自社の取り組みをアピールする
建設業には「古くて硬い職場」のイメージがつきまといがちです。
時代に合わせた取り組みについては、積極的に情報を公開しましょう。
- DX化やITツール導入で生産性を上げている事例
- 女性や外国人材の活躍推進策
- 完全週休2日制への移行や年間休日の拡大
- 安全教育や資格取得支援への投資
5.SNS発信による採用効果の高め方
ホームページに加えて、SNSを使いましょう。
より幅広い層へのアプローチやリアルタイムな情報発信が可能になります。
特に若い世代はSNSで企業の雰囲気をチェックすることが多いため、活用できると他社との差別化につながります。
転職活動を行う20代の85%がSNSで社名を検索している調査結果もあり、SNSは重要な情報源として利用されています。
参考:転職活動を行う20代の85%がSNSで社名を検索、株式会社リソースクリエイション調査 -HRog
5-1.投稿内容・頻度のポイント
SNS運用で大切なのは「継続的な更新」と「見ていて楽しい・面白い・ためになる情報」です。
頻度は週1〜2回を目安にすると、フォロワーに継続的に見てもらいやすくなります。
- 施工現場のビフォーアフター
- 社員インタビュー・日常の仕事風景
- 研修やインターン
- イベント・社内行事レポート
5-2.採用ターゲットに響く情報発信を心がける
SNSでは、一方的な情報発信だけでなく、コメントやDMを通して求職者とコミュニケーションを図ることも重要です。
「建設業に興味はあるけど、どんな職場なのかイメージが湧かない」という人に向けて、働きやすさや資格取得支援など、入社後のメリットが伝わる投稿を行うと関心を高めやすくなります。
5-3.SNSを見た人がすぐ行動できるようにする
SNSで投稿に興味を持った人が、すぐに次の行動が取れるように導線を作っておくのも有効です。
ホームページとSNSを連動させることで、いずれからアクセスしてきても応募につなげやすくなります。
お問い合わせはどこから受けるのか決めておき、アナウンスします。
- Instagramのプロフィール欄にホームページURLを掲載
- 「DMからお気軽にお問い合わせください」など一言を入れる
- 投稿に住所や電話番号を入れる
6.まとめ
建設業界の人手不足は、まだしばらく続くと予想されています。
しかし、ホームページやSNSといったオンライン活用を強化することで、社内の良い雰囲気や仕事のやりがいを遠方の求職者や他業界人材にも届けられるようになります。
また、継続的な情報発信は企業ブランディングにもつながり、結果として採用コストの削減や離職率の低下といった好循環を生む可能性が高まります。
- 採用に強いホームページは、トップページで興味を引き採用ページなど全体を充実させること。
- SNSを活用し、積極的に働くリアルな情報公開をする
もちろん、オンライン施策だけで全てが解決するわけではありません。
しかし、オンラインでの取り組みを十分に確立できている企業は少ないため、注力するだけで差別化につながります。
特にSNSは時間がかかりますし、ホームページも公開後に改善が必要です。
開始時期は早いほうが良いと言えるため、行動を起こしてみましょう。