ホームページにたどり着くまでの経路は、検索エンジンだけではありません。
検索結果だけでなく、AI検索の回答、口コミサイトやGoogleマップ、SNSの投稿、メルマガやLINEなど、さまざまな場所から人がやって来ます。
ホームページを見る前に少し別の場所で情報を知ってから「より詳しく知る」ためにホームページを見にやってくるケースも非常に増えていますよね。
ですから、とりあえずホームページがあれば良い、という時代は終わりました。
なぜならとりあえず程度ではなく、情報をしっかり見たい知りたいという需要があるからです。
そこで昔よりずっと大事になっているのが、ホームページ全体の構成。
- ここは何をしている会社なのか
- 自分に関係があるのか
- 信用して相談してよいのか
迷わず判断できる構成になっているかどうかが、問い合わせや来店に直結します。
ホームページが企業の案内図のようになっていると、満足度が高まります。
今回は、ホームページをただのページの集合体ではなく、お客様のための案内図に変えるという視点で、構成づくりの考え方を整理していきます。
お役立ち資料 ホームページ作成からマーケティングのことまでよく分かる
これだけあれば安心な、ホームページ制作時のチェックリストです。慣れないホームページ制作をスムーズに進めるためにお使いください。
1.流入経路が増えている
少し前までは、このような線が基本でした。
検索結果 → トップページ → 他のページ
今もこれがなくなったわけではありませんが、そこにたくさんの入口が加わっています。
- 口コミサイトのページから、会社名を見てホームページに来る人
- Googleマップで場所を調べてから、詳細を知るためにホームページを開く人
- SNSで投稿を見て、気になってホームページに来る人
- AI検索で表示されたリンクから、いきなりサービスページやブログ記事に飛んでくる人
訪問者はトップページやサービス一覧、会社情報、問い合わせページなどを行ったり来たりしながら、その会社の全体像をつかもうとします。
そこで私たちは、どのような情報をホームページに載せるべきでしょうか?
お客様の求めていることや自社が知ってもらいたいことをほぼ全部載せる、というのが正解です。
2.ホームページは信頼と案内のハブになる
AI検索や口コミサイト、SNSが発達しても、ホームページの役割そのものはそれほど変わっていません。
ホームページが担っているのは、大きく分けて2つ。
「信頼」と「案内」です。
2-1.ホームページの役割1:信頼
1つ目の信頼は、事業者の信頼獲得の役割があります。
誰が、どこで、何をしているのか。
どのような想いや考え方で製品・サービスを提供しているのか。
実績はどうなのかなどの情報を通じて、ここなら任せても大丈夫だと感じてもらう場所です。
2-2.ホームページの役割2:案内
お客様が迷わず次の一歩に進めるようにする場所として、案内の役割があります。
サービスの内容、利用の流れ、問い合わせ方法、会社概要、よくある質問など、事業のことがよくわかり注文や問い合わせにつなげるのです。
3.成功事例:構成を整えて問い合わせが増えた放課後等デイサービス
ここで、実際に構成を見直したことで成果が出た例をご紹介します。
チャコウェブでホームページを制作させていただいた、放課後等デイサービス プチアカデミー様(株式会社アバンセ)は、リニューアル前はとてもシンプルなホームページでした。
住所や事業内容、教室の時間割といった最低限の情報は掲載されていたものの、以下の事柄はネットの情報からはほとんど伝わっていませんでした。
- どんな子どもたちのための教室なのか
- どんな方針で支援をしているのか
- 教室の雰囲気や、スタッフの人柄
リニューアルでは、「学習支援に力を入れている放課後等デイサービス」という特徴を打ち出しました。
そして教室の雰囲気が分かる写真や卒業生の声、スタッフ紹介など、ホームページだけを見ても教室の全体像がイメージしやすい構成に刷新しています。
その結果、リニューアル直後から問い合わせ数が増加。
制作事例として記事で紹介したあとも利用者が増え続け、新しい事業所を追加されるまでに成長されています。
3-1.ホームページのリニューアルはデザインだけ新しくするのではもったいない
同じ教室、同じサービスでも、ホームページの在り方でこうまで変わる事例です。
「住所と時間割だけが載っているホームページ」と「トップページだけで教室の姿勢や雰囲気まで伝わるホームページ」では、受け取られ方が全く違う、という良い例だと感じています。
リニューアルでは最初は「集客はそれほど期待していない」と仰るお客様がよくいますが、それはホームページでどれだけ実力を伸ばせるのかを知らないせいだと思います。
デザインを綺麗にして、最新の情報を載せることがリニューアルではありません。
戦略を立て事業に役立つ存在に生まれ変わらせるのがホームページです。
4.構成を考える前に決めておきたい2つ
いきなりホームページの構成を考えるのではなく、先に決めておきたいことが2つあります。
4-1.①ビジネスのゴール
最終的に、ホームページで何を増やしたいのかをはっきりさせます。
- 問い合わせ
- 来店予約
- 資料請求
- 体験申し込み
- 採用エントリー
ここを決めておくと、トップページやサービスページでどの導線を強く見せるべきかが見えてきます。
4-2.②お客様側のゴールと不安
次は、お客様の立場に立って考えます。
ホームページにアクセスするお客様の状況と心理を書き出してみます。
- 何を知りたくて来るのか
- どこで不安を感じやすいのか
例えば、AI検索や口コミサイトを見てから来る人は、既に他社と比較していることも多いでしょう。
そのような時、ホームページで確認したいのは、次のようなポイントではないでしょうか?
- 他の会社と何が違うのか
- 自分の状況に合っているのか
- 料金や条件に大きなズレがないか
- 信頼できる人たちが運営しているのか
この視点を持ったうえで構成を考えると、会社側が言いたいことだけではなく、お客様の目線に沿った並びにしやすくなります。
5. 5秒で伝わるトップページの構成
トップページは非常に重要です。
最初の数秒で何が見えるかで、ゴール達成を大きく左右します。
スマートフォンでトップページを開いたとき、スクロールせずに見える範囲で以下のことが、ざっくりでも分かるでしょうか?
例えば、このような書き出しをよく見かけます。
きれいな言葉ですが、何をしている会社なのかは分かりませんよね。
以下のように具体的な文にしてみましょう。
ここまで書けば、自分に関係がありそうかどうか、読み手が判断しやすくなります。
トップページでは、この3点が最初の画面で分かるように配置しましょう。
- 一文で伝える事業紹介
- 主なサービスへの入口
- 問い合わせや資料請求など、次の一歩につながるボタン
6.ページごとの目的と必須要素
ページの種類ごとに「何のためのページか」と「最低限入れておきたい要素」を整理していきます。
6-1.トップページ
トップページでは、ぱっと見で以下のことがわかるようにします。
そして、各ページに移動しやすくなるよう、以下の項目を入れるようにしましょう。
- 事業の一行説明
- 代表的なサービスへのリンク
- 信頼材料のさわり(事例やお客様の声への入口など)
- 問い合わせや来店など、メインの行動ボタン
ふわっとした理念だけで終わっていないか。
誰のために何をする会社かが、一文でわかるか。
厳しく判断します。
6-2.サービスページ(事業案内ページ)
サービスページの目的は、お客様に自社の事業を知ってもらい、注文や問い合わせをしたい気持ちを高めることが目的です。
そのために、以下を整理してみましょう。
- 対象となるお客様像
- サービスを通じて目指すゴール
- 具体的にどんなことをするのか
- 料金や期間などの基本情報
できたら、具体的にお客様が知りたい情報をわかりやすく、詳しく載せます。
「詳しくはお問い合わせください」
と省略せずに、問い合わせ前にじっくり検討できる情報量を掲載するのがおすすめです。
6-3.会社概要ページ
会社情報ページの目的は、「どこが運営しているのか」「どんな人たちがやっているのか」を確認してもらうことです。
信頼を築く基盤となる重要なページです。
所在地や代表名、事業内容といった基本情報に加えて、以下のような情報も載せるようにしましょう。
数字だけでは伝わらない安心感につながります。
- どのような経緯で今の事業を始めたのか
- どんな価値観を大切にしているのか
代表挨拶のところには、代表の笑顔で撮影した顔写真も掲載しましょう。
人となりを知ってもらい、信頼してもらえるようになります。
6-4.FAQ・よくある質問ページ
FAQページの目的は、「お客様が不安に思いやすい点をまとめて解消する」「問い合わせ前のモヤモヤを減らす」ことです。
料金、納期、キャンセル、サポート範囲など、何度も聞かれやすい内容を一か所に集めておくと、お客様にとっても、社内にとっても負担が減ります。
将来的には、AI検索やチャットボットがここを参照することも増えていきます。
その意味でも、FAQはホームページの重要なパーツになっていきます。
6-5.お客様の声・事例ページ
お客様の声や事例ページは、「実際に利用した人がどう感じたのか」「どのような課題が、どんなふうに解決したのか」を具体的にイメージしてもらうためのページです。
- 依頼前の状況や悩み
- 結果や変化
- どんな取り組みをしたか
この流れでまとめると、読み手にとって分かりやすくなります。
6-6.お問い合わせページ
お問い合わせページの目的は、安心して一歩踏み出してもらうことです。
フォームの上に、以下の3点を短く書いておくだけでも、心理的なハードルは下がります。
- どんな相談を歓迎しているのか
- 相談の段階で料金は発生しないこと
- 返信までの目安時間
記入しやすいフォーム作りと、スパム対策の2つが重要です。
最適なフォームを目指し、定期的に見直し、改善していきましょう。
7.AI検索時代の構成のポイント
検索でAIを利用する機会が増え、検索エンジンからホームページへの流入数は低下しています。
しかし、それは「ホームページを見られない」「自社のことを知ってもらう機会が減少した」ことと直結するわけではありません。
人ではなく、AIが代わりにホームページを見て紹介する機会が増えていると考えられるからです。
その場合、AIに自社をおすすめされるようにすることがネットに情報を載せるポイントとなってきます。
以下がAI検索時代に意識しておきたいポイントです。
7-1.AI検索時代の構成ポイント①:基本情報をそろえる
基本情報を、ホームページ、Googleマップ、口コミサイト、SNSでできるだけ一致させます。
こうすることで、検索エンジンにも、人にもAIにも揃った情報として信頼を得やすくなります。
ごく基本的ではありますが、意外とバラつきが生じているケースがあるのです。
おそらく登録時期によって担当者が違う、事務所が移転したなどの事情で店名が微妙に異なっていることがあります。
注意してチェックし、情報を揃えましょう。
- 会社名
- 住所
- 電話番号
- 営業時間
- 提供サービス
- ホームページURL
- SNSアカウントURL
7-2.AI検索時代の構成ポイント②:よくある質問や事例を整えておく
AI検索は、公開されているページの情報をもとに回答をつくります。
FAQや事例ページに丁寧な一次情報があるほど、誤解の少ない形で取り上げられやすくなります。
7-3.AI検索時代の構成ポイント③:トップページからの導線
AI検索や口コミサイトからサービスページに来た人が、そのあと会社情報やFAQ、事例ページに迷わず移動できるように、メニューやページ下部のリンクを整えます。
全体としてわかりやすいサイトになります。
8.自社サイトの構成チェックリスト
すぐに実践できる簡単なチェックリスト項目を紹介します。
自社サイトを開きながら、当てはまるかどうか確認してみてください。
- トップページの最初の画面で、何屋かと誰向けかが分かる
- トップページから、主なサービスページに迷わず移動できる
- 会社情報ページに、所在地・代表・事業内容が整理されている
- FAQやよくある質問で、不安になりやすい点に答えている
- 事例やお客様の声が、少なくとも一つ以上載っている
- お問い合わせページに、相談の範囲と返信までの目安が書いてある
- スマホで見たときに、重要な情報が極端に下に押し流されていない
3つ以上当てはまらない項目があれば、構成を見直す良いタイミングです。
9.まとめ
ホームページの構成は、見た目の問題ではなく、伝わり方と信頼の問題です。
流入経路が増えた今、それぞれの項目について役割と必須要素を整理しておくことが大切です。
まずは、トップページの冒頭と、サービスページの書き出し、会社情報の一段だけでも見直してみましょう。