「ブログ、もうやめてもいいんでしょうか」
先日、こんなご相談をいただきました。
AIが検索の答えを直接返すようになって、ブログの検索流入は確かに減っています。
ただ、減っているのは一部の種類の記事だけです。
私たち自身、自社ブログ400本を全部見直して、6割以上を統合か削除の検討対象にしました。
その作業を通して見えてきた「残す記事」と「捨てる記事」の分け方を、そのままお伝えします。
1.「ブログ、もうやめてもいいのでは」という声
ブログをやめてもいいのでは、という声が、今年に入って一気に増えてきました。
きっかけのひとつが、長くSEOに取り組んできたある専門家の発信です。
24年間続けてきた自社サイトでの知識提供を、主力の集客手段から外すと表明されました。
「一般的なノウハウであれば、AIがウェブ全体から情報を集めて要約してしまう。だから検索した人が、わざわざ記事まで見に来ることは期待できない」
といった趣旨です。
その上で、お役立ち記事の制作は縮小してよいと語られています。
代わりに料金や仕様、事例、営業時間、よくある質問といった客観的な事実を正確に載せ、知名度と評判を高めることに力を注ぐべきという提案でした。
実際に自分のブログの数字が下がってきているのを見て「うちもやめようか」と考えた方は、少なくないと思います。
2.私たちのブログでも同じことが起きていた
正直にお伝えすると、私たちのブログでも同じことが起きていました。
まず、業界のデータから見てみます。
SEOツールを提供するAhrefsが2026年6月に日本で行った調査では、AIによる概要が表示される検索で1位を取っても、本来得られるはずだったクリックの6割以上が失われていました。
これは実際のクリック率同士を比べた数字ではなく、AI概要がなければ得られたはずの予測値との差です。
私たちのブログでも、同じことが起きています。
検索順位は前より良くなっているのに、クリック数は前年の半分近くまで落ちました。
特に落ち込んだのは、「SEOとは」「検索意図とは」のような、言葉の意味を説明する記事です。
一方で、クリック率が保たれていた記事もありました。
ツールの使い方や「新着情報に何を書けばいいか」、代表あいさつの例文などで読みながら手を動かす記事です。
業種別の記事や、他社の取り組みを紹介した記事も、読まれています。
このような感じで明暗が分かれてきました。
そこで400本を全部見直して、6割以上を統合か削除の検討対象とし、現在進めています。
単純な数字の話に見えますが、そうでもなさそうで、要は「お客様がどこで答えを得ているか」が変わったという話だと考えています。
3.ただ、これは業界の総意ではない
ここまで読むと「やはりブログは終わりか」と感じられるかもしれませんが、これは業界の総意ではありません。
むしろ正反対の観測も、同じくらい強く出ています。
Googleは2025年8月、公式ブログで次のように表明しています。
Google検索からウェブサイトへのオーガニッククリックの総量は、前年比で比較的安定している。
クリックの質はむしろ向上している、とも書かれていました。
同じ投稿の中で、本物の声や一次的な視点が聞ける投稿、詳細なレビュー、独自の視点、一人称の分析といったコンテンツへのクリックが増えているとも述べています。
別の専門家からも、逆の観測が出ています。
百万を超えるブログを合算したサーチコンソールのデータを調べたところ、AI概要が日本に広がった前後でトラフィックへの影響は見られなかった、という報告です。
その方によると、減ったのは「短い言葉で、知りたいことが全部分かってしまう検索」で上位を取っていたページに限られるとのことでした。
さらに、AI概要が日本に広がった時期はGoogleのコアアップデートと重なっていた、という指摘もされています。
AIのせいで流入を失ったとされるサイトの中に、通常の順位変動で評価を落としたものが混ざっているのではないか、という見方です。
なお、この観測は2025年の半ば時点のものです。
日本でAI概要が出る割合はその後さらに増えているので、影響が本格化したのはもう少し後かもしれません。
米国のPew Research Centerが2025年に行った調査でも、AI概要が表示された検索は全体の2割弱でした。
裏を返せば、8割の検索ではまだAI概要が出ていないことになります。
流入が減った原因を、全部AIのせいにしてしまわない方がよさそうです。
4.なぜ正反対の話が同時に出てくるのか
なぜ正反対の話が同時に出てくるのでしょうか?
これは矛盾しているわけではなくて、測っている単位が違うだけだと考えています。
Googleや先ほどの専門家が見ているのは、サイト単位の合計です。
一方でAhrefsやPewが見ているのは、AI概要が出るキーワードです。
そして、影響は見られないと報告したその専門家自身が「減ったのは短い言葉で答えが完結する検索」と書いています。
これは調査会社が言う「情報収集型のキーワード」と、ほとんど同じものを指しています。
つまり両者は、同じ現象を別の粒度で見ているのだと思います。
サイト全体は無事でも、一般的な知識を答えていた記事がアクセスを落としているということです。
私たちの400本の分析結果も、まさにこの通りでした。
もうひとつ、Ahrefsの調査で押さえておきたい数字があります。
AI概要が表示されない検索では、1位のクリック率はこの2年間ほとんど変わっていませんでした。
検索そのものが終わったわけではなく、AIが答えてしまうタイプの検索だけが変わってきていると捉えるのが実態に近いのでしょう。
5.「やめるか」ではなく「どれを残すか」
ここまで来ると、問いの立て方そのものを変えた方がよさそうです。
ブログをやめるか続けるかではなく、どの記事を残して、どの記事を捨てるかという考えに変えるのです。
私たちが400本を仕分けする時に使った基準を、4つご紹介します。
5-1.その記事のテーマを、長めの質問文で検索してみる
一番手軽なのは、その記事のテーマを長めの質問文にして、実際に検索してみることです。
Pew Research Centerの調査では、1語か2語の検索でAI概要が出たのは1割弱でした。
これが10語以上の検索になると半分を超え、疑問詞で始まる検索では6割で出ていました。
つまり、お客様が文章で質問するような検索ほど、AIが答えてしまいます。
自分の記事のテーマを、お客様が聞きそうな言い方で検索してみてください。
AI概要が出てきたら、その記事はもう検索から人を連れてきにくくなっています。
これはそれほど難しくない調べ方ですので、今日すぐに試せます。
5-2.読み終わったら用が済む記事か、読みながら手を動かす記事か
2つ目の基準は、読み終わったら用が済む記事か、読みながら手を動かす記事か、という違いです。
「〇〇とは」「〇〇のメリット・デメリット」のように、読んで納得したら終わる記事は、AIに置き換わっていきます。
一方で、手順、操作方法、例文、テンプレート、業種別の実例のように、読みながら作業する記事は残ります。
Googleも公式ブログで、本物の声や独自の視点、一人称の分析といったコンテンツがよく読まれていると書いています。
お客様視点で言い直すと、こうなります。
あなたのお客様がその記事を見ながら作業するなら、残すのが良いと思います。
読んで納得して閉じるなら、その仕事はもうAIがやってくれます。
読んで納得したら問い合わせたくなるような行動を誘う記事は、必ず残すに入ります。
5-3.自社サイトに、お客様が知りたい事実が書いてあるか
3つ目は、記事ではなくサイト全体の話になります。
以下のような情報が自社サイトに書かれているかチェックしてみましょう。
- 料金の考え方
- 対応エリア
- 営業時間
- 実績
- よくある質問
- 更新日
AhrefsがAI検索の引用元を分析した結果では、引用されるサイトの条件の第一に「公式の一次情報を、日付つきで事実ベースに発信していること」が挙げられていました。
Pewの調査でも、AI概要の引用元に占める公的機関サイトの割合は、通常の検索結果の3倍とあり、AIは「公式」を優先して引く傾向があるようです。
お客様視点で考えると納得がいくと思います。
AIに「この会社どう?」と聞かれた時、AIが答えられる材料が自社サイトにあるかどうかが見られているのです。
なければAIは、口コミサイトや掲示板の書き込みを見て答えることになります。
対面サービスの会社なら営業時間と対応エリア、BtoBなら実績と進め方を掲載しましょう。
業態によって、先に埋めるべき場所は変わってきます。
5-4.ブログを1年止めたら、困ることを3つ挙げられるか
4つ目は、少し乱暴に聞こえるかもしれません。
ブログを1年止めたとして、困ることを3つ挙げられるでしょうか。
挙げられないようなら、止めてしまってよいと思います。
一方で、こんな答えが出てくる場合もあります。
- 商談の前にお客様が見る場所がなくなる
- AIが自社について答える材料がなくなる
- メルマガやSNSで紹介するものがなくなる
そうであれば、そのブログはもう集客の装置ではなく、信頼の装置として働いています。
だとすれば、見るべき数字もアクセス数ではなくなってきます。
Googleの公式ドキュメントには、こう書かれています。
AIによる概要が表示される検索結果ページからのクリックは、より質が高いことが確認されています。これは、ユーザーがサイトに長く滞在する傾向があるためです。
数は減っても、来てくれる人は変わってきているのかもしれません。
6.「AI検索対策」にお金を払う前に
最近、「AI検索に対応しないと手遅れになります」という営業を受けた、というお話をよく伺うようになりました。
その前に、ひとつ確認しておきたいことがあります。
Google検索セントラルの公式ドキュメントには、次のように明記されています。
AIによる概要やAIモードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません。
新たにコンピュータが解読可能なファイルやAIテキストファイル、マークアップを作成する必要はありません。また、特別なschema.orgの構造化データを追加する必要もありません。
特別なファイルやタグは要らない、とGoogle自身が書いています。
これは判断の軸として持っておいて損がありません。
一方で、事実を正確に載せることや、自分の業界で確かな答えを持つことは、AI検索対策であると同時に、普通のSEOでもあり、商談前の信頼づくりでもあります。
どう転んでも損をしないところから手をつければ十分だと考えています。
なお、AI検索に関する調査を発表している会社の多くは、その対策ツールやコンサルティングも販売しています。
数字を読む時は、そこも含めて眺めておくと安心です。
7.私たちがブログに求めるものを変えた
私たちの話をご紹介します。
チャコウェブは、ブログに求めるものを変えました。
これまでのようにアクセス数を追うのをやめて、次の3つに絞っています。
- 商談前の信頼形成。会う前に、どんな会社かを確かめてもらう場所
- AI検索が引用する公式情報源。AIに聞かれた時、正しい答えの材料になること
- 発信の母艦。メルマガやSNSで届けるものの供給源
そのため、一般的な知識を説明する記事を新しく書く優先度は下げることにしました。
代わりに、私たちが現場で何をどう判断しているかを書いていきます。
この記事もその1つです。
8.よくある質問
8-1.ブログは完全にやめてしまってもいいですか?
記事の種類によります。
一般的な知識を説明する記事は、AIが答えるようになったため、検索から人を連れてきにくくなりました。
一方で、手順や例文のように読みながら使う記事、自社の事実を伝える記事、現場の判断が見える記事は今も読まれています。
やめるかどうかではなく、どれを残すかで考えることをおすすめします。
8-2.AI検索に対応するために、特別な設定やタグは必要ですか?
必要ありません。
Googleの公式ドキュメントに「AIによる概要やAIモードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません」と明記されています。
特別なファイルや構造化データを追加する必要もないとされています。
まずは料金や実績、よくある質問といった事実を正確に載せることから始めてみてください。
8-3.記事は月に何本くらい書けばいいですか?
本数より、続けられる形かどうかが大切だと考えています。
ペライチが2025年に行った調査では、Webサイトの管理で最も多い課題が「更新や変更が手間」でした。
書き続ける仕組みを作る前に、書かなくても古くならない情報を整えるほうが先だと思います。
料金、実績、よくある質問、会社の情報などです。
私たちも記事数は増やさず、月に数本まで絞っています。
9.まとめ
ある程度記事が溜まってきたブログ媒体にとっては、ブログをやめるかどうかではなく、どの記事を残すかという時期に来ているというお話をしました。
今回ご紹介した基準を、もう一度並べておきます。
- テーマを長めの質問文で検索して、AI概要が出るかどうか
- 読み終わったら用が済む記事か、読みながら手を動かす記事か
- 自社サイトに、お客様が知りたい事実が書いてあるか
- ブログを1年止めて、困ることを3つ挙げられるか
全部を一度に見直す必要はありません。
まずはアクセスの多い記事を10本だけ並べて、1つ目の基準で試してみましょう。
残す記事と捨てる記事が見えてくると思います。
そして、お客様に一番近いところにいるのは、AIではなくあなたの会社です。
現場で見てきたこと、判断してきたことは、AIがどれだけ賢くなっても代わりに書けません。
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