「うちも動画をやった方がいいのかな」
最近、中小企業のご担当者様からこうした声をいただく機会が増えてきました。
YouTubeもショート動画も、まわりが当たり前のように使っています。
でも、いざ自社でとなると「何を撮ればいいのか」「バズらせないと意味がないのでは」と、手が止まってしまいますよね。
先にお伝えしておきたいことがあります。
中小企業の動画集客は、再生数を稼いで「バズらせる」ことではありません。
あなたの見込み客が問い合わせる前に抱く不安を、動画で先回りして消すことが本質だと、私たちは考えています。
この記事では、なぜ今動画なのかという背景から、どんな動画をどこに置けばいいのかという全体像、そしてスマホ1台で始める最初の一歩までを網羅的にお伝えします。
1.なぜ今、中小企業に動画なのか
「動画が伸びているのは何となく分かる。でも、それが自社の集客とどうつながるの?」
動画を始める企業は増えていますし、何となく自社もやるべきと思いつつ、なかなか踏み出せませんよね。
なぜ今、中小企業は動画をすべきなのかというと、あなたのお客様が一番長く時間を使っている場所が動画だからです。
1-1.お客様の時間は、すでに動画へ移ってきている
総務省の調査では、平日のインターネット平均利用時間は181.8分でした。
テレビ(リアルタイム)視聴の154.7分を、約27分上回っています。
さらに、平日・休日ともに最も長く費やされていたメディア行動は「動画共有サービスを見る」ことでした。
参照:総務省情報通信政策研究所「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
サービス別の利用率を見ると、YouTubeは全年代で80.8%、10〜40代では90%を超えています。
LINEは70代でも71.8%が使っていました。
つまり、年齢を問わず、お客様の毎日の中心に動画があるということです。
「若い人向けのもの」という前提は、もう当てはまらなくなってきていると考えています。
1-2.お客様は、スマホで「探して・比べて・決める」
買い物のしかたも変わってきています。
経済産業省の調査によると、2024年の国内のネット通販(BtoC-EC)市場規模は26.1兆円で、前年より5.1%伸びました。
そのうち物販分野は、6割以上がスマホ経由だと報告されています。
参照:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」
これはネット通販の数字ですが、お問い合わせや来店を目指す事業でも、流れは同じだと考えています。
お客様は、まずスマホで探します。
そして他社と比べて、自分の中で納得してから動きます。
その比較検討の途中に、分かりやすい動画があるかどうか。
ここで「選ばれる会社」と「素通りされる会社」の差がつき始めているのかもしれません。
2.勘違いしてはいけない。動画集客は「バズ」ではなく「不安の先回り」
この項目が、この記事で一番お伝えしたいところです。
中小企業の動画集客で狙うのは「バズ」ではありません。
たくさん再生されること自体には、ほとんど意味がないからです。
本当に大事なのは「不安の先回り」のほうです。
「不安の先回り」とは、お客様が問い合わせる前に必ず抱く「ここは大丈夫かな」という不安を、こちらから動画で見せて先に消しておくことです。
たった1人の見込み客の不安が消えれば、それが問い合わせや来店につながっていきます。
動画と聞くと、「何万回も再生されないと意味がない」と感じる方が多いと思います。
しかし、中小企業が狙うのはそこではありません。
以前から、SNSでも「バズ」は要らないとお伝えしていますが、動画も同じです。
2-1.お客様は「見て、自分で確かめて、決める」
おもしろいデータがあります。
ショート動画に関するある調査では、ショート動画を見た人の58.1%が、その動画アプリをいったん離れて、自分でWeb検索やネット通販で調べてから購入していました。
参照:MarkeZine「ショート動画白書 vol.3」(Star Creation、調査2023年11月)
少し前の調査ではありますが、この行動はとても示唆に富んでいると考えています。
ショート動画は、あくまで「きっかけ」です。
最後の決め手は、お客様が自分で検索して、たどり着いた先のページです。
多くの場合、それは会社のホームページになります。
海外の調査でも、85%の人が「動画を見て購入を決めた経験がある」と答えていました。
96%が「商品やサービスを知るために説明動画を見たことがある」とも回答しています。
参照:Wyzowl「Video Marketing Statistics 2026」(イギリスの調査会社、回答者266名の海外データ)
海外かつ小規模な調査なので参考値ではありますが、日本でも同じ方向に進んでいきそうだと予想しています。
2-2.狙うのは再生数ではなく「目の前の1人の納得」
自分が何かを申し込む時を思い出してみてください。
「この会社、ちゃんとしているかな」「自分と同じような人が使っているかな」と、不安になりますよね。
その不安に、動画で先回りして答えます。
たった1人の見込み客が「これなら大丈夫そう」と思えれば、それで十分なのです。
何万回の再生はいりません。
バズを目指すと続かなくなりますが、「お客様の不安に答える」だけなら、無理なく続けられると思います。
3.中小企業が始めやすい動画の種類
「不安に答えると言われても、具体的に何を撮ればいいの?」
そう思いますよね。
中小企業が始めやすい動画の種類は、実はそれほど多くありません。
難しく考える必要はありません。
お客様が問い合わせ前に抱きやすい疑問に、1つずつ動画を当てていく発想で十分です。
たとえば、次のような型があります。
- サービス・商品紹介動画:「これは何を解決してくれるの?」に答える
- お客様の声・導入事例動画:「自分と同じ人が、これで良かったと言ってる?」に答える
- よくある質問(FAQ)動画:「申し込む前のこの疑問、聞かなくても分かる?」に答える
- スタッフ・作り手紹介動画:「どんな人がやっているの?」に答える
BtoB企業を対象にした調査でも、動画で出た成果は「展示会・イベントでの集客増」「商談時の製品理解の促進」「問い合わせ・リード獲得の増加」が上位でした。
参照:アルファノート「【2026年版】BtoB企業における動画マーケティングの実態調査」(2026年6月、500社)
派手な動画よりも、紹介・事例・FAQといった「お客様の不安に答える地味な動画」が効いてきている、ということだと思います。
3-1.「上手い動画」より「不安に答える動画」
ここで大事なのは、画質や編集のうまさではありません。
「誰の、何の疑問に答えるか」を先に決めることです。
私たちがお客様のホームページ制作をお手伝いする中でも、凝った映像より、お客様自身の言葉で語られた「お客様の声」のほうが、見ている人の心に届くと感じる場面が多くあります。
まずは1つ、お客様がよく口にする質問を思い浮かべてみましょう。
その答えを話すだけでも、立派な集客動画になります。
4.動画は「置き場所」で役割が変わる
動画は、作って終わりではありません。
どこに置くか、つまり置き場所によって、動画が果たす役割は変わってきます。
お客様の動きに沿って整理すると、見えやすくなります。
「見つけてもらう、確かめてもらう、決めてもらう」という流れです。
4-1.ホームページは「決めてもらう」場所
先ほどの58.1%を思い出してください。
ショート動画で興味を持った人は、最後は自分で検索して確かめてから決めます。
その受け皿になるのが、自社のホームページです。
サービスページに、紹介動画・お客様の声・FAQ動画を置いておくとどうでしょうか。
検討中の不安をその場で消すことができます。
ホームページは、読者のみなさんがすでに持っている資産です。
動画を一番効かせる場所として、まずここを整えるのがおすすめです。
4-2.YouTubeは「見つけてもらう、ストックする」場所
YouTubeは全年代の80.8%が使っていて、検索や関連動画から長く露出が続きます。
一度上げた動画が、半年後・1年後もお客様を連れてきてくれる資産になります。
すぐに結果が出なくても、コツコツ積み上げる前提で考えると良いと思います。
4-3.SNSのショート動画は「きっかけをつくる」場所
InstagramやTikTokのショート動画は、知ってもらう入口です。
ここで全部を伝えきろうとせず、「続きはホームページで」とつなぐ前提で作るのがコツだと考えています。
媒体は、自社のお客様の年代が多く使っているものを1つだけ選べば十分です。
あれもこれもと手を広げると、続かなくなってしまいます。
4-4.Googleビジネスプロフィールは「来店してもらう」場所
店舗や地域のお客様を相手にする事業なら、Googleビジネスプロフィールも動画の置き場所になります。
Googleの仕様では、最大30秒・720p以上の動画を載せられます。
参照:カンリー「Googleマイビジネスの動画機能を徹底活用」
30秒で店内の様子やスタッフの雰囲気が伝われば、「行ってみようかな」の後押しになります。
なお「動画があると検索順位が上がる」という話も見かけますが、はっきりした根拠は確認できませんでした。
順位対策としてではなく、来店前の不安を消すための1本、と考えるのが良いと思います。
5.検索とAIにも動画は効果あり
検索とAIにも、動画は効いてきています。
最近は、検索結果やAIの回答の中で、動画が拾われる場面が増えてきているからです。
やることの本質は今までと変わりません。
動画にチャプター(章分け)や字幕を付けておくと、検索結果に出やすくなったり、AIが内容を読み取りやすくなったりするといわれています。
ただ、ここで難しく身構える必要はないと思います。
チャプターや字幕は、検索対策である前に「お客様が見やすく、探しやすくする」ための気づかいです。
音を出せない場所で見ている人には字幕が助けになりますし、知りたいところだけ見たい人にはチャプターが親切ですよね。
お客様にとって分かりやすい動画は、結果として検索にもAIにも届きやすいと捉えておくと、技術的な話に振り回されずにすむと考えています。
バラエティ番組のような目立つ字幕を付けなくても構いません。
投稿の際に「キャプションを付ける」設定をONにしたり、代替テキストを付けたりすれば、検索エンジンやAIが文字情報を読んでくれます。
6.始め方は、1媒体・スマホ・月1本
最後に、最初の一歩をお伝えします。
始め方は、「1媒体・スマホ・月1本」と覚えておけば十分です。
完璧を目指す必要はありません。
次の3ステップで、まず1本を作ってみましょう。
- ステップ1:置き場所を1つ決める(迷ったら、まず自社ホームページ)
- ステップ2:スマホで、お客様のよくある質問やお客様の声を数分撮る
- ステップ3:無料アプリで字幕を付けて、縦型に整える
先ほどのBtoB調査では、動画1本あたりの予算は「10万円未満」が最も多いという結果でした。
制作会社に頼む場合でも、まずは手の届く金額から始められます。
予算が限られていても、無理なく取り組めるテーマだと思います。
そして、いきなり毎日投稿を目指さないことも大切です。
月1本でかまいません。
お客様の声を1本撮って、ホームページに載せてみましょう。
そこから始めれば、半年後には数本のストックが育っているはずです。
7.まとめ
動画集客と聞くと、つい「バズらせなきゃ」と力が入ってしまいます。
でも、中小企業に必要なのはそこではありません。
お客様は、動画で興味を持ち、自分で確かめて、最後は納得して決めます。
その一連の流れの中で、お客様の不安を1つずつ消していくことが中小企業の動画集客の本質だと考えています。
再生数は気にしなくて大丈夫です。
目の前の1人の見込み客に「これなら安心」と思ってもらえる動画を、スマホで月1本撮ってみましょう。
まずは自社ホームページに、お客様の声を1本載せるところから始めてみませんか。
小さな一歩でも、続けていけば必ず数字に表れてきます。
私たちチャコウェブも、その一歩をいつでも応援しています。