「LINEは友だち追加ボタンを置いただけ」
そんな状態になっている中小企業のホームページをよく見かけます。
前回の記事では、メルマガやニュースレターを「自社で確実に届けられるチャネル」としてご紹介しました。
実は、もう1つ無料で始められる自社チャネルがあります。
それがLINE公式アカウントです。
国内の月間利用者数はすでに1億人を突破しています。
参照:LINEヤフー株式会社 プレスリリース(2026年1月29日発表)
とはいえ、これは「バズらせよう」という話ではありません。
すでに多くのお客様が毎日使っている場所に、無料のまま接点を作っておこうという話です。
この記事では、次の流れでお伝えします。
- 中小企業にLINE公式アカウントをすすめる2つの理由
- 個人LINEやLINE VOOMとの違い
- 料金プランと、無料プランで使える機能の範囲
- メルマガ・SNSとの使い分け方
- 業種別の活用事例
- 始めるときの注意点
専門知識がなくても大丈夫です。
私たちも今回あらためて基礎から調べ直しました。
1.中小企業にLINE公式アカウントをすすめる2つの理由
中小企業にLINE公式アカウントをすすめる理由は、友だち追加のハードルが低いことと、届いたメッセージが読まれやすいことの2つです。
お問い合わせボタンを置くことと、LINE公式アカウントとして活用することは、実は別の話になります。
ボタンは、お客様が困った時に押してくれるのを待つ導線です。
一方でLINE公式アカウントは、こちらから接点を作り続けられる自社チャネルになります。
まずは、この2つの強みを順に整理してみましょう。
1-1.友だち追加のハードルはメルマガより低い
メルマガの登録には、メールアドレスの入力という一手間があります。
一方でLINE公式アカウントは、QRコードを読み取って「友だち追加」を押すだけで完了します。
普段使っているLINEアプリの中で、企業や店舗をフォローするような感覚で登録してもらえる、この差がなかなかに大きいのです。
参照:ITトレンド「中小企業がLINE公式アカウントを活用するメリットは?」
この手軽さは、中小企業にとって見逃せない強みだと考えています。
BtoCはもちろん、BtoBでも効果はあります。
名刺交換や会計のタイミングで一声かけるだけでも、友だちは少しずつ増えていきます。
1-2.LINE公式アカウントメッセージの開封率の高さは無視できない数字
LINEヤフーが公開している資料によると、LINE公式アカウントの「見てもらえる割合」は59.1%とされています。
これに対してメルマガは33.6%、アプリ通知は17.0%です。
参照:LINEヤフー公式資料「今日からはじめる LINE公式アカウントの友だち集め」(ダウンロード資料・2024年1月版。数値はLINE公式アカウントに関するエンドユーザー向け調査、2021年7月21〜22日実施)
購入につながる割合でも、LINE公式アカウントは42.6%、メルマガは28.6%、アプリ通知は9.9%という結果でした。
同じ資料内のデータです。
資料の中でも「LINE公式アカウントの開封率はメルマガやアプリ通知より高く、その後のアクションにもつながりやすい」とまとめられています。
この調査は2021年に行われたもので、少し前のデータという点は頭に置いておく必要があると思います。
ただ、開封されやすいチャネルであるという傾向は、今も大きくは変わっていないだろうと考えています。
「今すぐ気づいてほしいお知らせ」があるなら、LINE公式アカウントは有力な選択肢ということですね。
まずは、この開封されやすさを知っておくところから始めましょう。
2.個人LINE・LINE VOOM・オープンチャットとの違い
LINEには似た名前の機能がいくつもあり、運用したことがない方には、ここが一番分かりにくいところかもしれません。
個人LINE・LINE VOOM・オープンチャットとの違いを順に見ていきます。
先に結論をお伝えすると、中小企業がまず押さえておくのは、LINE公式アカウントの「1対多で情報を届ける機能」だけで十分だと考えています。
2-1.個人LINEとの違い
普段使っている個人のLINEは、友人や家族との1対1、またはグループでのやり取りが中心です。
一方でLINE公式アカウントは、企業や店舗が「友だち」になってくれたユーザーに向けて、1対多で情報を届ける仕組みです。
もちろん、LINEチャットという機能を使えば、1対1のやり取りも可能です。
お問い合わせ対応や予約の受付には、この機能を使うことになります。
料金の面でも違いがあります。
個人のLINEは基本無料ですが、LINE公式アカウントは月200通を超える配信をすると有料になる仕組みです。
詳しくは次の章でご説明します。
2-2.LINE VOOMは今、下部メニューから移動している
以前は「LINE VOOM」というショート動画中心のタブがあり、友だちでない人にも投稿が届く可能性がある機能として注目されていました。
ただ、LINEアプリの下部メニューは今、順次変更されています。
LINEヘルプセンターによると、VOOMは下部メニューから移動し、「ホーム>サービス」から利用する形になります。
代わりに「ショッピング」というタブが追加されます。
この切り替えは一部のアカウントから順次進んでいる段階で、一時的にVOOMタブが再表示される場合もあると案内されています。
お手元のLINEでまだ変わっていなくても、おかしくはありません。
参照:LINEヘルプセンター「LINEのリニューアルについて」(2026年3月5日更新)
これから始める中小企業にとっては、VOOMを主軸に考える必要はないと考えています。
まずは友だちへのメッセージ配信という、基本の使い方から押さえていきましょう。
2-3.オープンチャットとの違い
オープンチャットは、共通の趣味や関心を持つ人同士がゆるくつながる、コミュニティ的な機能です。
LINEの友だちでなくても、テーマを介して参加できます。
これに対してLINE公式アカウントは、あくまで企業からユーザーへの発信・個別対応が主体です。
「ユーザー同士のつながり」と「企業とユーザーのつながり」、目的が違うと理解しておくとわかりやすいでしょう。
3.料金プランと、無料プランで使える機能の範囲
LINE公式アカウントの料金プランは3つありますが、始める段階では月額0円のプランで十分だと考えています。
無料プランで使える機能の範囲は、思っている以上に広いと感じました。
費用が気になって導入を先延ばしにしている方も多いところなので、3つのプランの中身と、無料でどこまでできるのかを具体的に見ていきます。
3-1.3つの料金プラン
LINE公式アカウントには、3つの料金プランがあります。
2026年7月時点で、LINEヤフー公式サイトに掲載されている内容です。
- コミュニケーションプラン:月額0円、無料メッセージ200通まで
- ライトプラン:月額5,000円(税別)、無料メッセージ5,000通まで
- スタンダードプラン:月額15,000円(税別)、無料メッセージ30,000通まで、超過分は従量課金で追加配信可能
参照:LINEヤフー for Business「LINE公式アカウントの料金プラン」
開設すると、最初は自動的にコミュニケーションプランになります。
ライトやスタンダードにしたい場合は、あとから変更する形です。
どのプランでも、使える機能そのものに違いはありません。
違うのは、無料で配信できるメッセージの通数と、上限を超えた後の扱いです。
コミュニケーションプランとライトプランは、無料通数を使い切るとその月の配信が止まります。
上限を超えても追加料金を払って配信を続けられるのは、スタンダードプランだけです。
無料のまま始める場合は、この上限の性質を先に知っておくと安心ですね。
3-2.無料でも使える機能
無料のコミュニケーションプランでも、主な機能はひととおり使えます。
ここで押さえておきたいのは、「使えるかどうか」と「月200通を消費するかどうか」は別だという点です。
月200通を消費しないのは、次の機能です。
- あいさつメッセージ(友だち追加された瞬間に自動で届くメッセージ)
- LINEチャット(1対1でのやり取り)
- 応答メッセージ(特定のキーワードに自動で返信する機能)
- リッチメニュー(トーク画面下部の、タイル状のメニュー。配信ではなく画面の設定です)
一方で、次の配信は月200通を消費します。
- 友だち全員へのメッセージ配信
- 属性や条件で対象を絞り込んだ配信
- ステップ配信(時間差で複数のメッセージを自動配信する機能)
ステップ配信も通数に含まれる点は、見落としやすいところだと思います。
逆に言えば、あいさつメッセージと1対1のチャットは、何通やり取りしても無料ということですね。
友だち追加直後の案内と日々の個別対応だけなら、無料プランのままで十分にまかなえます。
中小企業であれば、まずは無料から始めて、友だちが増えて一斉配信をしたくなってから有料プランを検討するので十分だと考えています。
3-3.2026年10月からの料金改定と、新しいオプション
料金面では、いくつか動きもあります。
2026年10月1日から、スタンダードプランの追加メッセージ料金が改定される予定です。
これまでの多段階制から、「20万通までは1通3円、それ以降は1通2.5円」というシンプルな2段階制に変わります。
参照:LINEヤフー公式「追加メッセージ料金改定のお知らせ」(2026年2月16日公開・6月30日更新)
また、2026年6月には「CRMオプション」という新しい機能も追加されました。
月額5,000円(税別)で、顧客情報の一元管理やアンケート機能、タグや誕生日に応じた自動配信ができるようになります。
ただ、申し込むには条件があります。
認証済アカウントであることと、認証済のビジネスマネージャーとの接続が必要で、友だち数10万人未満のアカウントが対象です。
設定はパソコンの管理画面からのみで、スマホアプリからは操作できません。
月額だけを見て申し込もうとすると、ここでつまずくことがあります。
参照:LINEヤフー公式コラム「CRMオプション」(2026年6月23日公開)
こうしたオプションは、友だちが増えて管理が大変になってきたタイミングで検討すれば十分です。
最初から全部そろえる必要はありません。
予算に応じて、少しずつ機能を足していく形で考えましょう。
4.メルマガ・SNS発信との使い分け方
メルマガ・SNS発信とLINE公式アカウントは、役割分担で考えると使い分けやすくなります。
LINEは「すぐ気づいてもらう」、メルマガは「じっくり読ませる」、SNSは「新しい出会い」という整理です。
情報発信のチャネルが増えるほど管理は大変になりますから、全部を並行して始める必要はありません。
自社に合うものを選んでいただけるよう、それぞれの得意分野を見ていきます。
4-1.メルマガ=じっくり読ませる、LINE=すぐ気づいてもらう
前回のメルマガの記事では、メルマガを「動かすメルマガ」と「読ませるニュースレター」に分けてご紹介しました。
LINE公式アカウントは、この中では「動かす」側に近い性質を持っています。
開封率が高い分、「今日までのクーポン」「明日の予約枠が空きました」といった、すぐ気づいてほしい連絡に向いています。
一方でメルマガやニュースレターは、じっくり読んでもらいたい専門的な情報や、お店の考え方を伝えるのに向いているチャネルです。
SNSは、まだ自社を知らない新しいお客様との出会いの場、という位置づけになります。
それぞれの強みや役割があるため、「全部を一気にやる」という考え方よりも、どれが自社には効果的かを優先して選ぶのがおすすめです。
開設しておいて、場面に応じて使い分けるのも良いでしょう。
4-2.併用するときの考え方
すべてのチャネルを同時に始める必要はありません。
対面サービスの業態であれば、まずはLINE公式アカウントで来店後のフォローから始めるのが取り組みやすいと考えています。
BtoBの業態であれば、メルマガやニュースレターでじっくり関係を築く方が向いている場合もあるでしょう。
私たちがこれまで多くの中小企業のホームページ制作に携わってきた中でも、最初から全部のチャネルを完璧に運用できている会社は、実はそれほど多くありません。
まずは1つのチャネルで、無理なく続けられる形を作ることが優先だと考えています。
慣れてきたら、メルマガで書いた内容をLINEでも一言添えて案内する、といった連携もしやすくなります。
まずは自社にとって一番身近なチャネルから、育ててみましょう。
5.業種別の活用事例
ここからは、具体的な事例を業種別に見ていきましょう。
飲食店の事例を目にする機会は多いのですが、今回はあえて美容室・教育・士業や不動産といった、幅広い業種の事例をご紹介します。
LINE公式からの事例紹介です。
5-1.美容室・サロン
ひとり営業の整体サロン「整体戦士ダイラマン」では、問い合わせの8割がLINE経由になっているそうです。
LINEチャットで悩みに寄り添う対応を重ね、次回予約をこちらから勧めなくても、2〜3週間ごとに来店するお客様が多いといいます。
参照:LINEヤフー for Business 美容室・美容サロンの活用事例
まつげエクステの個人サロン「G/ash」では、来店したお客様にショップカードをフックにして友だち追加を促し、チャットでの予約やクーポン配布に活用しています。
電話に出られないことが多いひとり営業だからこそ、やり取りをLINEに集約したという例です。
対面でお客様と接する業態であれば、こうした小規模サロンの使い方は特に参考にしやすいのではないでしょうか。
5-2.教育・習い事
留学エージェントの「国際教育交流センター」では、カウンセリングの約7割をLINEチャットに切り替えたところ、契約件数が導入前の約2倍に増加したそうです。
10代後半から20代前半という客層に、電話やメールより支持されたことが背景にあると紹介されています。
参照:LINEヤフー for Business 教育・習い事業界の活用事例
横浜市の学習塾「リーガル学習塾」では、メールでの連絡をLINE公式アカウントに切り替えたことで、一斉連絡の漏れがほぼなくなったといいます。
電話代がほぼ基本料金のみで済むようになった、という声も紹介されていました。
若い世代の顧客や、保護者との連絡が多い業態では、こうした切り替えの効果が出やすいのかもしれません。
5-3.士業・不動産・人材
保育士専門の求人サイトを運営する「株式会社BUY THE WAY」では、応募のCVR(成約率)がメルマガの0.25%に対し、LINEでは1.25%と、約5倍の差が出ているそうです。
参照:LINEヤフー for Business その他業界の活用事例
保険代理店の「有限会社あいおい保険事務所」では、LINE活用によって保険金支払いまでの期間を半分に短縮できたという事例も紹介されています。
これは推測ですが、手続きや確認事項が多い業種ほど、チャットでのやり取りによってスピードが上がりやすいのかもしれません。
士業やコンサル、不動産など、専門性の高い業態でも、活用の余地は十分にあると考えています。
6.始めるときの注意点とよくある失敗
ここまで読んで「始めてみようかな」と思われた方に、最後にいくつか注意点をお伝えします。
6-1.開設する際の手順は公式ページでの確認がおすすめ
LINE公式アカウントの開設自体は、数分で完了します。
LINEアカウントかメールアドレスで登録し、会社や店舗の情報を入力するだけです。
ただ、開設画面や設定手順は、ここ数年で何度か変更されています。
正確な最新の情報を参照するなら、詳しい手順は公式ページでの確認をおすすめします。
参照:LINEヤフー for Business「LINE公式アカウントの作り方」
6-2.「友だち追加してもらって終わり」にしない
友だちを増やすこと自体が目的になってしまうケースを、私たちはよく見かけます。
友だちが増えても、あいさつメッセージが未設定だったり、リッチメニューが空欄のままだったりすると、印象は良くなりません。
開設した直後に、この2つだけは整えておきましょう。
「まず何をお店に問い合わせたいか」をお客様の立場で考えると、リッチメニューに何を置くべきかが見えてきます。
予約ページへのリンクやクーポン、よくある質問への案内などが定番です。
6-3.配信し過ぎない
開封率が高いからといって、配信の頻度を上げすぎるのは逆効果です。
「毎日通知が来て、ちょっとうるさい」
お客様がそう感じ始めると、ブロックされてしまうことがあります。
まずは週1回程度から始めて、反応を見ながら調整していくのが無理のないやり方だと考えています。
配信を減らしてでも、1通あたりの内容を「お客様にとって役立つか」で選ぶようにしましょう。
来店後のフォローとしてLINEでメッセージを送る際は、あわせてクチコミのお願いを添えるのも一つの方法です。
7.まとめ
LINE公式アカウントは、無料のまま始めて、無料のまま育てられるチャネルです。
今回のポイントを整理します。
- 友だち追加のハードルはメルマガより低く、開封率も高い傾向にある
- コミュニケーションプラン(月額0円)のままでも、あいさつメッセージやリッチメニュー、1対1のチャットは通数を気にせず使える
- ステップ配信や一斉配信は月200通に含まれる注点に意する
- メルマガ「じっくり読ませる」、LINE「すぐ気づいてもらう」、SNS「新しい出会い」の役割分担で活用する
「うちの業態には向かないかもしれない」
そう感じる方もいるかもしれませんが、まずはコミュニケーションプランのまま、あいさつメッセージを1つ用意するところから始めてみませんか。
無理なく続けられる形を、少しずつ育てていきましょう。