個人経営や中小企業経営の飲食店にとって、新規集客は常に大きな課題です。
常に新しいお客様を迎えなければ、売り上げは減少していきますので、経営者の多くが頭を悩ませているのではないでしょうか。
美味しい料理を出すことや素晴らしい接客を心がけるという努力をしても、集客できなければお店は赤字になってしまいます。
そこで、最近注目されているのがコンテンツマーケティングです。
最近は、飲食店の多くがFacebook、Instagram、TwiterなどのSNSや、ブログを使って情報発信をしています。
それが功をなしてネット上での認知や好感度が上がり、来店に結びつけることに成功しているお店も少なくありません。
今回は、集客につながる飲食店のコンテンツマーケティングのアイディアをご紹介していきます。
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目次
1 飲食店にとってコンテンツマーケティングは役立つのか?
コンテンツマーケティングは、これからの飲食店が集客のために【打つべき手】のひとつです。
コンテンツマーケティングを上手に活用することで、
- 今まで到達できなかった人々にお店が認知される (認知のの獲得)
- 共感を呼び、来店したいと思うファンを作ることができる (共感の獲得)
- 絶好のタイミングを作ることで来店を促進できる (来店促進)
- お客様が拡散してくれる (拡散)
という4段階の効果が期待できます。
それらの効果を得るためには、コンテンツマーケティングの基本と、利用するサービスの特徴を理解し上手に運用することが大事です。
2 お客様が欲しい情報を提供する、それがコンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングでは、自分たちが発信したいと考える情報より、お客様が得たいと考えている情報に価値があります。
お客様が必要としていない情報をいくら発信しても、拡散することはありません。
逆に、共感性が高かったり役立つ情報を発信し続ければ、お客様の評価が得られシェアされることで大きく認知が広がります。
役立つ情報を発信し、共感や好感を獲得し、タイムリーな情報で集客する。
それが飲食店のコンテンツマーケティングの基本です。
3 ブログを利用したコンテンツマーケティング
ブログは日記のように記事を発信できるので、公式ホームページのコンテンツのひとつとして運用している飲食店も少なくありません。
写真や動画ととも雰囲気やスタッフの思いを伝えるメディアとして利用している方も多いでしょう。
しかし、お客様によく読まれ拡散されることが期待できる情報は、そのような日常の風景ではありません。
同じ記事作成の労力を使うならば、お店の認知拡大につながるコンテンツを発信するほうが効率的です。
お店のPRや季節のメニューの情報など営業に関わる情報だけではなく、一般的に役立つ情報を提供することで、ブログのアクセスは増加します。
役立つ情報を提供するという視点でブログを運用しましょう。
3-1 ブログ記事の効果は、テーマの設定で決まる
役立つコンテンツの基本は、お客様の検索行動にマッチしているということです。
検索ユーザーが読んで良かったと思う記事は、Googleに評価され上位に表示されるようになります。
検索行動を理解しお客様がどういう情報を知りたいかを知り、マッチしたテーマについて書く、というプロセスで作っていきます。
関連記事>>自社のWEBサイトに引き込むための正しいSEOキーワードの調べ方とは
どういう情報を検索しているかを知るには、Googleで検索するのが簡単な方法です。
たとえば、イタリア料理店を経営しているならば、Googleの検索窓に「イタリア料理」と入れてみましょう。
検索ワードを入れた時点で検索窓の下にいくつかのキーワードの組み合わせが表示されます。
一般的には「サジェスト」や「検索予測機能」と呼ばれる検索エンジンの機能で、ひとつのキーワードを入れると、検索エンジンのデータベースから過去に頻繁に検索された組み合わせが表示されるのです。
イタリア料理 レシピ
イタリア料理 名前
イタリア料理 お店
イタリア料理といえば
というような組み合わせのヒントを得ることができます。
それぞれの組み合わせで上位に表示されている記事を参照することで、どんな記事が読まれているのかを知ることができます。
また、検索結果が表示されている画面を一番下までスクロールすると、「イタリア料理に関連する検索キーワード」という情報が表示されています。
イタリア料理 種類
イタリア 料理 有名
イタリア料理 名前
イタリアン 東京 ランキング
イタリア料理といえば
イタリア料理 コース
イタリア料理 代表
イタリア 食文化
イタリア料理 前菜
イタリア料理 英語
という具合です。
専門的には、さらにさまざまなツールで検索キーワードを吟味していきますが、この2種類のキーワード情報だけでも一般的にどういうことをネットユーザーが知りたがっているのかを知ることができます。
それらのキーワードを手掛かりに、検索してみて上位に表示される記事の内容を確認すると、どんなテーマやタイトルで記事を書くのが効果的かが見えてきます。
「イタリア料理のレシピを検索している人は、家庭で調理できる料理を探しているんだな」
「イタリアの食文化について知りたい人がいるんだな」
という「知りたいこと」「困っていること」を客観的に理解することができます。
「イタリア料理店オーナーがお教えする10分でできる前菜のレシピ」
「イタリア食文化について知っておきたい7つのこと」
というようなテーマが思い浮かびますよね。
3-2 オリジナル視点で、飲食店だから作れる記事を作ろう
テーマが決まれば、次は記事の執筆です。
記事には、テーマを考える際に使ったキーワードを積極的に入れるようにしましょう。
飲食店にあって、ブロガーにないものは何でしょう?
そう厨房とお店です。
ブログの記事を作成するにあたって、その2つは何よりも大きな武器になります。
レシピの記事を作る際に、本格的な厨房でシェフが調理している写真を挿入できますし、普段使用している新鮮なこだわりの食材をアイキャッチとして使うこともできます。
食文化を説明する際には、食器やテーブルも役立つでしょう。
お店の雰囲気を取り入れながら、専門性の高い記事を作成することで、記事コンテンツの魅力が上がり、検索で発見したお客様が拡散したくなります。
最初は月に一本、週に一本というペースで少しづつ良い記事を書き続けるうちに、そのジャンルで著名なブログに仕上げることが可能になります。
3-3 お店のこだわりをブログで伝えていこう
お役立ちコンテンツを蓄積していくことと同時に、お店がこだわっていることをわかりやすく伝える記事を投稿していくことで、共感や好感度をますことが可能です。
お役立ちコンテンツを並べることでブログの価値は上昇します。
それにより、お店の認知は上がりますが集客までは遠い道のりです。
そこで、お店のこだわりや雰囲気を伝える記事が必要になります。
「当店が使用している鎌倉野菜の生産者○○さんに聞く冬野菜の保存方法」
「健康にも効果あり! 無農薬のビーツを利用したスープのレシピ公開」
「どうしてオーガニック野菜を使って欲しいのか? 当店シェフが語る有機野菜の美味しさ」
「みなさまも購入可能なオーガニック野菜の販売者を紹介」
など、具体的にお店の特徴を絡めたお役立ちコンテンツを提供していくことが効果的です。
PRや自分の店舗のキャンペーンなどを積極的に出してしまうと、拡散しづらくなりますので、あくまでも、ユーザーが知りたがっていることを書くことに注意しましょう。
Facebookでシェアされたり、Twitterで話題になっている既存の記事をイメージして取り組んでみてください。
4 お店のいまを伝え、来店に結びつけるSNS
SNSを有効に活用することで、実際の来店に結びつけることが可能になります。
ブログは、あくまで認知を上げ、ジャンルや素材、料理に対する理解を深めるためのメディアとして位置付け、タイムリーな発信はSNSで行うほうが効果的です。
SNSは、タイムラインを持つという特徴があります。
それは、お客様の目の前を流れていく情報として提供されるということを示しています。
特徴を知り、攻略することがSNS活用のポイントとなります。
どのSNSにも共通するのが、フォロワー数が一定に達しないと効果がないということです。フォロワーを増やすためには、共感されるコンテンツを発信し続けることが最も近道です。
参考>>集客できるホームページの文章はここが違う!!書き方4つのチェックポイント
4-1 Facebookの特徴と展開例
Facebookは、ブログの補完として利用することで、お客様の評価を獲得できます。
Facebookによるコンテンツマーケティングは、「Facebookページ」という機能を利用します。個人のアカウントとは違って、お店の基本情報や地図、お客様のレビューなどを表示でき、Facebookページから電話を受けることも可能です。
また、詳細なログを確認できる管理者ページも充実していますので、効果をタイムリーに診断することができます。
公式ホームページとしての機能を備えているといっても良いでしょう。
長文を投稿することに適していますので、ブログの代わりとして活用している飲食店も少なくありません。
ただし、Twitterのように頻繁に更新するとユーザーのエンゲージメント(「いいね」やフォロー、シェア、コメントなどの行動)の低い記事も増え、記事の評価が低くなりお客様のタイムラインに表示されなくなるので注意が必要です。
記事は一球入魂、無駄撃ちなし、が成功の秘訣です。
季節のメニューなどは、食材の説明やこだわり、ご利用に適したシーンなどとともに紹介しましょう。
記事にタイトルをつけると、より効果的ですし、ブログ同様、お役立ちコンテンツを提供すると「シェア」や「いいね」も多くなります。
Facebookの記事の展開例
・「冬野菜の季節になりました」というタイトルで、契約農家から送られてきた彩り豊かな野菜の種類と、栄養について紹介する記事
・「本日のランチは、栄養たっぷりの根菜が主役です」というタイトルで、食材と、調理方法のこだわりを説明する記事
などが写真とともに拡散されやすいでしょう。
Facebookページのフォロワー(ページ自体に「いいね」をしてくれた人)は、来店経験者や来店意向がある人が占める割合が比較的多いSNSです。
お店のファンを増やし、リピーターを育成するためにも、良い記事の投稿に注力しましょう。
4-2 Twitterの特徴と展開例
Twitterは、流れるタイムラインのなかワンチャンスでのコミュニケーションです。
目に留めてもらうには魅力的な写真が決め手です。
まずは、定期ポストを洗練させることが、効果的です。
- 本日のランチ
- 仕入れてきた新鮮な食材
- その日のお店の外観
- その日のスタッフの笑顔
- 投稿の許可をいただいたお客様の来店時の写真
などのように、タイムリーで共感を呼びそうな写真をメインにし、毎日同じ時間にポストすることを続けることを長期にわたって行うことで、お客様が、情報を確認することを常習化できます。
そのなかで発見される新しいメニューや食材は来店へのフックにもなります。
それを基本として、Twitterのタイムリーさを活用し、その日のキャンペーン情報を流すことにも向いています。
「本日、雨の日サービスやってます。7時までにご入店のお客様に限りシャンパン1杯サービス」
「本日も、ハッピータイムが始まります。お好みのドリンクに前菜プレートがついて1,000円。ハッピータイムは20時まで!」
など、お得な情報を投稿することで、来店に結びつけることができます。
人気店などの場合、空席や予約状況などお客様にとって実用的な情報を発信するのに活用しているケースもあります。
Twitter活用の注意点は「余計な話はしない」の一言に尽きます。
代表的なものに、政治や宗教がありますが、さまざまな趣向や考え方がある分野に対して自己主張を行うことは、アカウントの炎上につながります。
また、お店のルールや主張、お客様とのトラブルについての投稿は、やはり反対意見を持つ方の反感を買います。
テーマを決め、アドリブに頼らず運用できるようにしましょう。
また、スタッフの個人アカウントも、お店のことは発言させないようにコントロールする必要があります。
ご来店のお客様に対する不満や、タレントが来店したことをTweetしてしまってスタッフのアカウントが炎上することもしばしばあります。
どこで誰が見ているのかわからないのがTwitterですので、スタッフにもきちんと教育し勝手な投稿はしないように徹底しましょう。
また、フォロワーのなかにはネガティブなコメントをする方もいます。
その場合も感情的にならずに「勉強になります」という余裕のある気持ちで丁寧に対応しましょう。
4-3 Instagramの特徴と展開例
現在、飲食店利用で注目を集めているのがInstagram。
写真や動画を気軽に投稿できる簡単さと、「いいね」のつきやすさが人気です。FacebookやTwitterに比べネガティブな反応が少ないのも良いところですね。
Instagramは、写真メインのSNSですので、写真のキレイさがコンテンツの価値を左右します。
「インスタ映え」という言葉が使われるように、写真が美しければ拡散されやすく、来店したいという気持ちにさせることができます。
以下、Instagram活用のポイントを紹介します。
・お料理の写真は、美味しそうに撮影する
写真はキレイに撮らないと効果がありません。
特に写真撮影の技術に自信があるというわけでない場合は、真上からお皿全体を撮影するようにしましょう。真上からの写真は、料理の全体像がわかりやすいのと、お皿のなかにまとまった印象を与えることができますので効果的です。
また、写真撮影に自信がない方が、スマホのカメラで撮影してもキレイな写真に仕上げやすいというメリットもあります。
お皿の上の盛り付けは、料理人の腕の見せ所ですから、こだわりの美しい盛り付けがそのまま伝わります。
・野菜や肉など食材の新鮮さをアピールするときには、写真の質に気をつける
食材の写真も、共感を獲得できるアイテムです。
仕入れたてのかたまり肉や、鮮魚、契約農家から届いた野菜、市場で仕入れた食材などが、美しい写真で表現されていると、「いいね」やコメントがつきやすくなります。
撮影する際は、何度も撮ってみて、Instagramのフィルターも試してみて、美しい写真に仕上げるように心がけてください。
参考になりそうなキレイな写真を検索して構図や色合いを参考にするのも良いでしょう。
・よく使われているハッシュタグをつけて投稿する
Twitterもそうですが、Instagramではハッシュタグというタグをつけることができます。
「#パクチー」や「#アヒージョ」「#寒ブリ」など写真にふさわしいタグのなかから、投稿数の多いものを選んで使用しましょう。
それらは見られることが多いタグでもあります。
・フォロワーを増やす
Instagramは、何もしなければフォロワーが増えません。
定期的に検索し、地域、料理の種類などお店に似ている写真には、積極的に「いいね」をすることをおススメします。地道に継続することでフォロワーが増えます。
また、定期的にお店の名前や場所でエゴサーチし、ご来店されたお客様がお店や料理の写真を投稿した場合にはフォローし「いいね」や感謝のコメントを入れましょう。
Instagramのフォロワーを増やすには、日々の努力が必要です。
印象に残るキレイな写真を掲載することはもちろん、積極的にアクションしていくことが重要なのです。
まとめ
飲食店の集客の一助として、コンテンツマーケティングは有効です。
しかし、広告やグルメサイトの有料プランのように即効性のあるものではありません。
日々の地道な運用が成功の鍵です。
それぞれのサービスの特徴を把握し、効果的な組み合わせで運用するのには手間がかかります。
しかし、ほとんどのサービスは無料で利用でき、きちんと運用していれば効果も現れるはずです。
集客のためにはどんな手でも打つという覚悟と行動力が、特に個人経営の飲食店には必要な時代になりました。
「打つ手」のひとつとして、検討してみてください。