患者さまが求める情報を、ホームページやSNSで届けていますか?
産婦人科クリニック・病院のホームページは、重要度を増しています。
「看板や地域の口コミだけで自然と患者が集まる」時代は終わりつつあります。
今や多くの人がインターネットでクリニックの情報や口コミを徹底的に調べ、自分に合った産婦人科を慎重に選ぶようになりました。
特にホームページとSNSは、患者さまにクリニックの魅力や安心感を伝える重要な「場」です。
そのような場をうまく作りたいと思いながらも、「どうすればよいのかわからない」と悩む方が多いようです。
実際、産婦人科クリニック・病院の院長先生や事務長、経営陣の方々はWebに関する知識が豊富にあるとは言えない状況でさまざまな判断を迫られています。
「ホームページをちゃんとしなければ」
「今はSNSが重要らしい」
「Googleマップの口コミを増やすのが良いと言われたけれど、どうすれば良いの?」
重要性はわかっていても、どうすれば良いのかわからないと悩む方は多いと思います。
今回は、ホームページとSNSを活用した効果的な集患方法を解説します。
デジタル集患の戦略を理解し実践することで、患者さまに選ばれる産婦人科づくりにつなげていただければ幸いです。
1.産婦人科の患者さまが求める情報を理解しよう
まず押さえておきたいのは、患者さまがどんな情報を求め、どう検索しているかです。
産婦人科を受診する患者さまの多くは不安や疑問を抱えています。
「妊婦健診は何をするの?」
「無痛分娩に対応している?」
「不妊治療の具体的な内容や費用は?」
「婦人科検診って痛いの?」
こんな風に、状況に応じたさまざまな疑問があるはずです。
そこで、来院を検討する人はネットで情報収集をします。
気になっていることを解決してくれる病院やクリニックがあれば、とても安心してくれることでしょう。
ですから、病院・クリニックがすべきことは「患者さまが知りたいこと」をホームページやSNSで紹介することなのです。
患者さまにとっては、一度来院してから他院に移るのはなかなかハードルが高いもの。
だからこそ、事前にしっかり調べ、納得してからどこに通うのかを決めます。
Googleマップは集客のチャンスが詰まっています。誰でもできる方法を徹底解説。
1-1.「安心して通えるか」を判断する材料
産婦人科はデリケートな領域のため、患者さまは信頼できるクリニックかどうか慎重に見極めています。
例えば、あらかじめ知りたいと思うことは例えばこのようなことです。
- 診療項目や専門分野
- 予約について
- 費用や保険適用に関する情報
- 里帰り出産の対応
- 来院後の流れ
- 入院時に必要なこと
- 付き添いや立ち合い出産に関すること
- 院内の写真や設備案内
- 緊急時の連絡先や対応策
- 患者さまの声や口コミ
これらはすべて、「安心して通えるかどうか」を判断するための材料となります。
2.産婦人科の検索をする時の傾向を知っておこう
産婦人科を探す時の検索キーワードの傾向を知っておくと、どのようなニーズがあるのかが見えてきます。
多くの人はまず「地域名+産婦人科」で検索し、自宅や職場から通える範囲の候補を探します。
例えば「〇〇市 産婦人科」「△△駅 婦人科」といった地名・駅名と診療科の組み合わせです。
さらに具体的なニーズで検索するケースも多く、診療メニューや症状名+地域名といったキーワードもよく利用されます。
- 「〇〇市 無痛分娩」無痛分娩(和痛分娩)に対応する産婦人科を探している
- 「〇〇駅 不妊治療」不妊治療の実績があるクリニックを探している
- 「〇〇市 子宮がん検診」地域で婦人科検診を受けられる施設を探している
- 「〇〇区 産後ケア」 産後ケアを行っている施設を探している
- 「〇〇市 里帰り出産」里帰り出産の受け入れ可能な産婦人科を探している
2-1.AIで検索するケースが増えている
クリニック名ではなく症状や気になる事柄で検索して情報収集するケースもあります。
「生理が遅れている」「妊娠初期の出血」「産婦人科 いつ受診すべき」などの疑問で検索し、信頼できる情報を発信しているクリニックのサイトにたどり着くこともあります。
このような個別の悩みに関する事柄はAIを利用して調べる人が増えつつあります。
例えば、無痛分娩に興味がある場合、無痛分娩についてAIに質問し、そのまま地域の無痛分娩に対応している産婦人科をAIに調べて列挙してもらうような流れです。
AIは、基本的にネット上にある情報を収集して結果を出します。
無痛分娩に対応しているにもかかわらず、ホームページなどには無痛分娩のことが載っていない場合、お勧めから外されてしまうのです。
実は、AIだけではなく一般の検索でも同じなのです。
「無痛分娩に対応できます」とわかりやすく表示していない病院・クリニックは、いくら対応していても外からはわからないでしょう。
院で行っていることは、自ら積極的に発信する。
これがとても大切です。
3.産婦人科を選ぶ基準が多様化していることを理解しよう
かつては「家から近いから」といった理由で選ばれることも多かった産婦人科ですが、現在では選択基準が多様化しています。
- 分娩方針(無痛分娩対応か、母乳育児を推奨しているか等)
- サービス・環境(設備の充実度やホテルのような快適さ)
- 利便性(アクセスや予約のしやすさ、待ち時間短縮)
少子化になったことで、出産は人生の中でも大きなライフイベントとなりました。
生まれてくる子だけではなく、母親の体験にも価値が置かれています。
診療時間等の通り一遍の情報だけではなく、どのような強みや特徴があるのかも打ち出すことが求められています。
患者さまの求める条件とマッチさせると、自院の診療サービスに合う人がより多く来院してくれるようになります。
4.集患につながるホームページの作り方
ここまで見てきたことから、患者さまは「わからないこと」に不安な気持ちを持っており、その不安を解決するために情報を探していることがわかります。
わからないことによる不安は、産婦人科病院・クリニックがインターネット上に載せる情報によって解消できるものです。
ホームページやSNSで欲しい情報が見つかることで、患者さまは安心して来院してくれるようになります。
目指すべきは「知りたいことが全部載っていて安心」なホームページです。
どのようなホームページが集患につながるかというと、「患者さまが安心できる情報が載っている」ということになるのです。
特に医療に関する情報は正確性が求められますから、正しい医療知識に基づく情報を積極的に載せることで信頼性も高まります。
4-1.院内の雰囲気をホームページデザインで表現する
ホームページは、病院・クリニックのイメージを左右する接点となります。
歓迎してくれている雰囲気を感じられ、見やすいデザインが喜ばれます。
病院・クリニックのホームページは、お知らせの確認や予約の目的で何度もアクセスされることが想定されます。
動きが多過ぎると、疲れてしまったり混乱してしまったりするため、華美なデザイン性よりすっきりさせることをお勧めします。
特に産婦人科病院・クリニックのホームページはスマートフォンで閲覧する人が多いため、見やすく操作しやすいデザインを意識しましょう。
4-2.診療案内
診療メニューや外来受付など、初めての方にもわかりやすく案内します。
「外来診療の流れ」があると、持ち物や予約の可否などがわかるようになります。
緊急時の連絡先や問い合わせ方法についてもわかりやすく載せておきましょう。
4-3.設備やサービス紹介
産婦人科にとって「清潔で快適な環境」は非常に重要です。
個室の病室や最新の分娩台、キッズスペースなどを写真付きで丁寧に紹介すれば、「どんな場所で出産・診療するのか」のイメージが湧き、初産の方の不安を和らげることができます。
「初めてのお産で入院するお部屋が可愛い内装だと嬉しい」と感じる妊婦さんは多く、内装写真から「ここで産みたい」という気持ちにつながることもあります。
食事を工夫している産婦人科病院・クリニックが増えているため、食事のメニュー例や写真を紹介しましょう。
給食についてはSNSで紹介するのもお勧めです。
4-4.院長・医師やスタッフの紹介
院長・医師の顔写真付きの挨拶や、スタッフの写真を載せましょう。
助産師や看護師、受付スタッフも含めチーム全員をできるだけ載せるのがお勧めです。
スタッフの顔が見えると病院に温かみが生まれ、「みんなで支えてくれる病院なんだ」という印象を与えられます。
4-5.よくある質問
よくある質問は、ぜひホームページに載せていただきたいお勧めのコンテンツです。
「里帰り出産は受け入れている?」
「夫の立ち会いは可能?」
「不妊治療の待ち時間は?」
「入院時の持ち物は?」
このような疑問にQ&A形式で答えておくと、受診前の不安解消につながります。
5.SNSで患者さまとの距離を縮める
ホームページに加えて、SNSの活用も現代の集患には大きな威力を発揮します。
SNSはリアルタイムで情報発信ができ、双方向のコミュニケーションを通じて患者さまとの距離を縮めることができるツールです。
こまめに発信している病院・クリニックのアカウントには、自然と親しみが湧いてくるもの。
病院・クリニック選びで迷っている患者さまの最後の決め手が「SNSを発信している」院になることもあるくらい、最近は重要度が増しています。
特に若い世代の患者さまが多い産婦人科では、InstagramやLINEの相性が良いとされます。
Instagramはユーザー層の約7割が10〜30代の女性で占められており、まさに産婦人科のターゲット層と重なります。
5-1.SNSでは患者さま目線に立った情報発信を定期的に行う
ホームページでは「知りたいことが全部載っていて安心」と思ってもらい、SNSでは「ここなら温かく迎えてくれそう」と感じてもらうことを目指しましょう。
SNSで発信する内容のアイデアは例えばこのようなものです。
- 妊婦さん・ママ向けの役立つ情報発信
- 産後ケアやイベント情報の案内
- 出産から退院までのストーリーをわかりやすく紹介
SNSは継続して運用することが大切です。
せっかくフォローしてくれた人も、投稿が何ヶ月も止まっていると「大丈夫かな?」と不安に思われます。
忙しいクリニックでは頻繁な更新は難しいかもしれませんが、無理のない頻度で定期的な情報発信を心がけましょう。
6.産婦人科ならではの注意点
産婦人科は妊娠・出産から婦人科疾患、不妊治療、さらにはデリケートゾーンの悩みまで、非常にプライバシー性が高くセンシティブな領域です。
他の科以上に情報の取り扱いには細心の注意を払い、患者さまに不安や不快感を与えないよう留意する必要があります。
また、医療機関のホームページやSNSは広告とみなされ、厚生労働省の定める医療広告ガイドラインの適用を受けます。
具体的には、このような表現はNGとされるため行ってはいけません。
- 治療の効果や安全性を保証するような表現
- 他院と比較して優良である旨の表現
- 体験談による誇大な宣伝
また、正確性とエビデンスを担保することも重要です。
ホームページやSNS投稿で医療情報を提供する際は、必ず最新のエビデンスを確認し、信頼できる情報源へのリンクや出典を明示しましょう。
出典として推奨されるのは、例えば厚生労働省のガイドラインや日本産科婦人科学会等の公式見解、査読済み論文などです。
根拠の薄い個人ブログ等の情報は誤解を招く恐れがあるため控えましょう。
7.情報発信はプロに依頼する場合
ここまで読んで、「情報発信なんて素人だから難しそう…」と躊躇される方もいるのではないでしょうか。
最近では医療機関専門のマーケティング支援サービスも充実しており、記事制作やSNS運用代行をプロに任せることもできます。
スタッフに余裕がない院も多いため、余力がない場合や、初期の段階はプロに任せたりアドバイスしてもらったりすることで、成果までの道のりを短縮できる可能性があります。
外部サポートを上手に活用したいですね。
上述したように、医療情報は取り扱いがセンシティブです。
依頼する場合には医療情報の取扱いに長けている人に任せることが重要です。
8.まとめ
ホームページとSNSの活用はもはやオプションではなく経営戦略の柱です。
ホームページでは患者さまの不安を取り除き信頼感を与える情報をしっかり提供し、SNSでは温かみのあるコミュニケーションで病院・クリニックのファンを育てるイメージです。
「腕が良ければ自然と患者は来る」という時代ではありません。
産婦人科病院・クリニックの数は減少傾向にありますが、競争が和らいでいるとはいえず、今後さらにデジタル上でのパフォーマンスのあり方が求められるでしょう。
患者さまも選ぶ側として、自分に合う病院・クリニックを探してインターネット上をさまよっています。
インターネット上で適切に情報発信し、クリニックの価値をきちんと伝えることが集患の近道です。
今回の内容がお役に立てば幸いです。