保育園・幼稚園の皆さまにお伝えしたいことがあります。
ネットが苦手でも大丈夫です。
むしろ、そのほうが普通です。
チャコウェブが依頼を受けてきた 保育園・幼稚園でネットが得意な方はほぼいませんでした。
しかし、ネットの情報発信は重要になってきているのは現実です。
最初は皆初心者ですが、取り組んでみれば徐々にできるようになるので、「今から」始めてみませんか?
保育園・幼稚園を選ぶ保護者にとって、最も重要なことは「大切な子どもを安心して預けられるかどうか」。
いまは口コミやパンフレットだけでなく、スマートフォンで公式サイトやSNS、Googleマップの情報を照合してから見学やプレ保育に申し込むご家庭が増えています。
コクリコラボの調査によると、園選びの第一歩としてインターネット上の情報を活用していることがわかります。
参照:「保育園・幼稚園選び」 いつから・何をするべき? 後悔したポイントは? 先輩ママに聞いた「リアルな実態」 – コクリコ
こうした状況において、ホームページ・SNS・Googleマップを活用することは、園の認知度アップや保護者の不安解消に大きく貢献します。
一方で、このような声もよく耳にします。
「ネットに詳しくないので何をどうすればいいかわからない」
「SNSを運用したいが安全面で不安がある」
「うちのホームページはずっと前に作ったきりで、特に何もしてないな…」
冒頭で述べたように、少しずつ「できることが増える」ので、まずは一歩踏み出してみましょう。
本記事では、保育園・幼稚園の担当者が安心して使える、ホームページ制作とSNS・Googleマップ運用のヒントを、具体的にご紹介していきます。
保護者目線に立った情報発信のポイントを押さえ、より多くの家庭に園の魅力を届けましょう。
お役立ち資料 集客できるホームページ作成の方法を解説
コンバージョンに差がつくトップページの作り方をご紹介
1.保護者の情報収集はデジタル中心。複数の情報を「突き合わせる時代
1-1.口コミだけでは不十分?多彩な情報収集ルート
園を知るきっかけは、友人・知人からの口コミや自治体情報、地域の掲示板、配布物などさまざまです。
そこから一歩踏み込むとき、ほぼ必ずスマホで公式サイトやSNS、Googleマップを確認します。
- 友人や知人からの口コミ
- 地域の支援センターや児童会館などの掲示板、パンフレット
- 市町村の広報誌、役所のホームページ
- インターネット検索(スマートフォン・パソコン)
- SNS(X(旧Twitter)、Instagram、LINE、YouTubeなど)
- Googleマップの口コミ・写真・場所情報
単一の情報源に頼り切るというよりは、複数を組み合わせています。
口コミやパンフレットで見聞きした園について、より詳しく知るために検索エンジンやSNSによるリサーチをする、と言った感じです。
「名前を聞いた園を検索して、雰囲気や方針、費用感を確認。気になれば見学予約へ」
この流れが一般的になりました。
複数の園の情報を集めてから、見学やプレ保育・体験保育の申し込みに至るケースもあります。
もっと詳しく知りたいと感じた保護者は、必ずといっていいほどスマートフォンなどを使って園のホームページやSNSを確認しに行きます。
1-2.スマホで「読みやすい・迷わない」を最優先にする
難しいことは置いておいて、最初に見るのはスマホの表示です。
- 文字が小さすぎないか
- ボタンは押しやすいか
- 画像が崩れていないか
トップ・園の概要・入園案内・アクセスだけでも、スマートフォンで気持ちよく見られるよう整えると離脱がぐっと減ります
総務省の調査や各種統計によると、日本におけるスマートフォンの普及率は年々上昇し、2025年には92%を超えると予測されています。
ほぼすべての幅広い世代が当たり前にスマホを使いこなす時代です。
参照:Japan’s mobile adoption and marketing landscape
そのため、ホームページがスマートフォンで見やすい・操作しやすいことが必須条件なのです。
しかし、実は保育園・幼稚園は古いままのホームページも多く、地方では10年前ということも少なくありません。
子どもの数が減っている中で、いかに見てもらえるかは重要ですから、スマートフォン表示対策は必要です。
スマートフォンでの表示に対応できていないサイトは、せっかく興味をもった保護者が訪問してもすぐに離脱される可能性が高くなってしまいます。
2.保護者の疑問・不安を解決する、ホームページに必須の基本情報
「園のことをもっと知りたい」
「安心して預けられるかどうか、不安を解消したい」
ホームページを見る保護者の多くがこのように思っています。
保護者が知りたいのは、理念や方針のような園の考えと、日々の生活や安全、費用のような現実的な情報です。
そこで、以下のような情報をしっかり掲載することが重要です。
2-1.運営・施設全般に関する基本情報
教育・基本方針
教育理念、保育目標、カリキュラムの特色、担任・副担任の配置など
スタッフの想いや方針を保護者に伝えることで、共感や信頼を得やすくなります。
園長・先生・スタッフの紹介
園長の経歴や想い、ベテラン保育士・新任保育士など、スタッフの顔やコメント
写真・イラストを添えて簡潔にまとめると、親しみやすさがアップします。
施設・園庭の安全性
園内設備、遊具の安全対策、清掃頻度などを具体的に紹介
写真や動画で「ここなら子どもを安心して任せられる」というイメージを伝えましょう。
保育料や追加費用
入園料、月謝、制服・体操着など備品購入費、行事費用の目安など
後から「こんなに費用がかかるとは思わなかった…」とならないよう、可能な限り明確に記載するとトラブル防止につながります。
延長保育や通園方法
延長保育の時間帯や料金、園バスのルート、保護者が車や自転車で送迎する際の駐輪・駐車場情報など
共働き家庭が増えているため、延長保育や送迎情報は特に重視されるポイントです。
昼食(給食やお弁当)の内容
給食のアレルギー対応や献立例、週何回がお弁当持参なのかなど
写真付きで紹介すると、保護者の安心感がさらに高まります。
年間行事・1日のスケジュール
運動会や遠足、季節行事などの大まかな流れ
一日の時間割や活動内容を掲載すると、子どもの園生活をイメージしやすくなります。
非常時の対応
災害や緊急時の避難方法、連絡手段、非常食の備蓄など
トラブルへの対応力を示すことは保護者の信頼を得るうえで重要です。
アクセス・問い合わせ
最寄駅からのルートや目印、Googleマップの埋め込み
電話やメールだけでなく、問い合わせフォーム・LINEなど複数用意すると質問がしやすいという声も多いです。
2-2.保護者が実は気にしているポイント
父母会の有無・役割負担
入園前に「役員決めや活動内容、保護者同士の関係性」がわかると助かるという声が多いです。
父母会の負担度は園によって大きく異なるので、どの程度の参加が必要かを明示しましょう。
施設や水回りの清潔感、特にトイレ
毎日使う場所だからこそ、不衛生だと保護者の不信感が高まる原因に。
掃除の頻度や子どもが使いやすい工夫(子ども用サイズの洋式トイレなど)を写真や文章で伝えましょう。
卒園児の進学先(教育重視の場合)
小学校受験や特定の学校への進学を視野に入れる家庭の増加により、「どのような学校に進んでいるのか」を示すと安心感が得られます。
在園保護者の声
実際に通っている保護者の口コミは大きな説得力を持ちます。
ポジティブな声だけでなく、要望や苦情への対応策も載せることで、誠実な姿勢を伝えられます。
プレクラス・未就学児体験会・参加イベント情報
「見学や体験参加できる日はいつか」「予約方法は?」などを早めに告知すると、忙しい保護者が予定を立てやすくなります。
過去のイベント写真や参加者の声を掲載するとイメージが湧きやすく、参加ハードルが下がります。
受験・入園に関する具体的手順
入園までのスケジュール、プレ保育が必須か、受験や面接の内容、準備物など
初めての入園でわからないことだらけという家庭ほど、この情報があるかどうかで安心度が変わります。
男性保育士についての記載
男性保育士に対するジェンダー偏見が根強く残っている場合もあるため、園としての考え方や配慮を記載すると誤解を減らせます。
「おむつ替えやトイレ介助はどうしているのか」など、具体的な説明があると安心を得やすいです。
3.園の雰囲気を親しみやすく伝える工夫とは
どの園でも「基本情報」は似たり寄ったりになりがちです。
基本情報がそろったら、次は雰囲気の見える化です。
そこで、園独自の雰囲気や先生たちの人柄を伝えるために、以下のような工夫をしてみましょう。
先生や給食スタッフの写真・似顔絵付き自己紹介
「園長先生がこんな人なんだ!」と、実際に会う前から親近感を持ってもらえます。
イベント活動の写真・動画
運動会や季節行事の様子を切り取った写真を載せると、園の活気や楽しさが伝わります。
人気給食ランキングやレシピ紹介
食育に力を入れている園であれば、「今月のイチオシ献立」を写真付きで紹介するのも◎
子どもたちが作った作品集
絵画や工作の写真を展示するだけでも、保護者が園での生活を身近に感じられます。
これらの情報があるだけで、ただの「データベース的なホームページ」ではなく、園の温かさや保育の楽しさを感じてもらえるでしょう。
ここで大切なのは、いまの姿をそのまま伝えること。
完璧でなくても構いません。
季節の写真が入れ替わっている、最近の作品が並んでいることが見えれば、それだけで「ちゃんと更新されている園だ」と感じてもらえます。
4.成功事例:日の出保育園の「見える化」リニューアル
本庄市の日の出保育園様は、老朽化したホームページを全面的に見直し、同時にInstagramを新しく開設しました。
リニューアル前は、ブログが止まり、地図情報も古いまま。
そこで、まず園長先生と一緒に理念を言葉にして整理し、ページ構成に反映させました。
園内や周辺のイラストマップを作り直し、園内写真も充実。
さらに、保護者の声・職員の声を掲載し、伝えられる範囲でリアルな感想を公開しています。
Instagramの開設は、最初から乗り気だったわけではありません。
クレーム等がこないかどうかも不安材料だったといいます。
しかし、日の出保育園の園長先生はこのように振り返っています。
「保護者世代はInstagramで園を検索する。
その一言で、自分の常識が変わりました」
Instagramはプロフィールとハイライト、固定投稿を整えるご依頼をいただき、
「紹介やチラシ → Instagram → 公式サイト → 見学申込」の流れを意識する設計を行いました。
紙のパンフレットも世界観を統一して刷新し、市役所の棚でも思わず手に取りたくなるデザインにしています。
結果として、保護者からの反応が変わり、問い合わせ・見学へとつながる道筋がわかりやすくなりました。
5.Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)はもうひとつの玄関
ホームページと並んで重要度が増しているのが、Googleマップ上の園情報です。
Googleマップを頼りに連絡を入れたり訪問したりするため、意外と見られています。
初めて園を訪れる保護者は、Googleマップの住所・電話・営業時間・写真を頼りにします。
- 正確な住所登録
- 電話番号や公式ホームページへのリンク
- 写真の掲載(外観、看板、入口、園庭など)
さらに、Googleビジネスプロフィールを活用して営業時間や行事のスケジュールを掲載しておくと、園を初めて訪れる保護者が迷わずに済みます。
口コミ投稿機能もあるため、良い口コミが増えれば園の評判を大きく高めることができるでしょう。
6.SNSは「身近な安心」を届ける道具
6-1.SNSは保護者からも喜ばれます
日常的にSNSを利用している保護者は多いため、園での子供たちの様子が見えるSNS投稿は喜ばれる傾向にあります。
実際、チャコウェブのSNS発信支援先では、以下のような声をもらう機会が増えたとのことです。
「安心した」
「送り迎えや行事の時しか子どもの様子を目にできなかったから嬉しい」
「職員さんの気遣いを感じて頼もしく感じる」
保護者の方からの満足感が得られれば、やがて口コミ経由でご紹介につながります。
長期的には園の申し込み増加を狙えるのです。
おすすめはInstagram中心の運用。
ストーリーズやリールで「今日の一コマ」を短く伝え、プロフィールには公式サイトや見学申込へのリンクを置きます。
先に紹介した日の出保育園様も、今では日常的に発信しています。
「最初は凝りすぎて時間がかかりましたが、適度に力を抜くようにしてから継続できています。」
このように発信が続くのは、保護者からの好意的な反応が多かったからです。
7.SNS運用時に気をつけたい安心・安全を守るポイント
一般企業以上に「安心・安全」に気を配る習慣ができているのが保育園・幼稚園です。
とはいえ、個人としてSNSを使った経験しかない職員さんも多く(当たり前ですね)、闇雲に始めるのは危険かもしれません。
ここで運用時に気を付けるべきポイントをご紹介します。
一度、専門家による講習やサポートを受けて、園内職員でマニュアルを作るのがおすすめです。
ルール化できれば、次年度以降も運用は楽になりますし、引継ぎも苦労しません。
7-1.運用マニュアルの策定と定期的な更新を行う
投稿する際のルール(言葉づかい、ハッシュタグの使い方、子どもの写真掲載範囲など)を決め、複数スタッフで共有するようにします。
週1回、月〇回など投稿頻度をあらかじめ決めて、運用マニュアルを作っておきましょう。
「行事のときだけ投稿」だとSNSの存在を忘れられがちですし、重要なコメントにも気付けません。
7-2.プライバシーと個人情報保護
顔出しについては事前に保護者の了承を得る必要があります。
どのような目的でSNS発信をするのか誠実にお伝えし、理解を得ましょう。
SNS発信について質問や相談を受け付ける担当窓口を設けておくと安心してくれます。
- 子どもの顔や名前が特定されないように配慮する
- 顔出しがNGな子にはかわいい絵文字で顔を隠すなどの対応をする
- 保護者の同意を得てから写真や動画を投稿する
- 誤って個人情報(園児のフルネーム、住所など)を公開しないよう、ダブルチェック体制を整備
7-3.ITリテラシー・インターネットリテラシーの向上
アカウントの管理や保管体制について、皆で認識合わせをしましょう。
うっかり情報が漏れてしまうようなことを防ぐには、「得意な担当者1人にだけ任せきりにしない」ことが重要です。
よくあるのが、SNSに精通した若い職員に丸投げしていたら、職員さんの産休や退職などのタイミングでアカウントが動かせなくなった、などです。
- スタッフ全員が最低限のITリテラシーを身につけることが不可欠
- SNSやネット上にはさまざまな情報があるので、正誤の判断や安全な振る舞いを知る必要がある
- フィッシング詐欺やアカウント乗っ取りなどの危険に対応できる知識を持っておく
7-4.誤送信・誤投稿のリスク管理
1人だけではなく、チームで見守りながら安全に運用することがとにかく大事です。
チーム運用なら「責任追及」する必要がなくなりますし、リスクも大幅に減らせます。
- 投稿前のチェック体制を徹底し、誤字脱字や掲載写真の間違いを防ぐ
- 個人アカウントとの使い分けを明確にし、私的な情報を公式アカウントに誤送信しないよう注意
- 誤って投稿してしまった際の削除・修正手順をマニュアル化しておく
8.ネットが苦手でも進められる、現実的なステップ
「パソコンもスマホも得意じゃなくて…」
という保育園・幼稚園の方からよくご相談をいただきます。
教育や保育のプロではありながらネットにも精通してバリバリ使いこなしている方は、チャコウェブでも滅多にお見かけしません。
むしろ、保護者の中に詳しい方がいて、善意で手伝ってくれたりアドバイスを受けたりしながら、なんとか運用している園職員さんのほうが多いと思います。
とはいえ、すべて保護者の方に依頼するわけにもいかないですよね。
いきなり全部を完璧にしようとしなくて大丈夫です。
ネットが苦手な方でも、以下のステップに沿って進めればスムーズに運用をスタートできます。
8-1.目的をはっきりさせる
「入園希望者への案内に重点を置き募集を強化したい」
「在園児の保護者への連絡がメインで、コミュニケーションをとっていきたい」
「採用を強化したい」
など、まずは運用目的を絞りましょう。
8-2.ホームページの制作・リニューアル
レスポンシブデザインを導入し、保護者が必要とする情報を掲載します。
制作会社や専門家に依頼する場合は、「自分たちで更新しやすいか」を確認することも大切です。
見学会・説明会、行事日程など、頻繁に更新が必要になりそうなコンテンツはある程度予測できます。
しかし、制作者が気が付かないこともあるのでしっかり伝えましょう。
8-3.SNSアカウント開設・基本設定
X(旧Twitter)、Instagram、LINE公式アカウント、YouTubeチャンネルなど運用するSNSのアカウントを用意します。
プロフィール欄や説明文に必ず「公式ホームページ」へのリンクを入れておきましょう。
信頼性や権威性に影響があるためです。
8-4.投稿ルール・マニュアル整備
投稿責任者とサポートスタッフを決め、投稿基準や頻度を明文化しましょう。
専門家に講習を依頼し、運用方針を決めていくのがベストです。
個人情報や誤送信リスクへの対策をまとめたガイドラインも作成しておきます。
8-5.Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)登録
住所・電話番号・営業時間・写真を登録し、ホームページとも連携しましょう。
Google上で口コミへの返信を丁寧に行うことで、保護者に好印象を与えられます。
8–6.定期チェックと改善
アクセス数や問い合わせ状況を確認し、必要に応じてホームページやSNSの内容を見直すタイミングを作ります。
定期的に園内スタッフでミーティングを行い、改善点を共有するとスムーズに運用が回ります。
9.オンラインとオフラインをつないで「ひとつの体験」にしていく
- 紙のパンフレットからInstagramへ
- Instagramからサイトへ
- サイトから見学申込へ
現代の保護者は、このような行き来をしながら確かめています。
だからこそ、トーンや写真の雰囲気を統一し、同じ情報にたどり着けるようにしておくことが重要です。
見学当日は、FAQや入園案内へのQRを用意しておくと、帰宅後の不安解消にも役立ちます。
問い合わせにはできるだけ早く返信する体制を整えておきましょう。
10.まとめ
「大切な子どもを安心して預けられる場所を見つけたい」
そんな保護者の気持ちに寄り添った情報発信こそが、園への信頼と共感を生み出します。
見える化とは、保護者の不安を先回りしてやさしく解くことです。
公式サイトで基本情報をていねいに示し、SNSで日常の空気を伝え、Googleマップで来園前の不安を減らす。
日の出保育園様のように、理念を言語化→設計→継続の流れをつくれば、オンラインとオフラインが一本の導線になります。
どれも、特別なスキルは要りません。
ぜひ今回ご紹介した方法を活用し、デジタルツールを味方につけながら、保育園・幼稚園の素晴らしさをたくさんの人に届けてください。
本記事がお役に立てば幸いです。