ここ数年で、仕事の言葉のやり取りは大きく変わりました。
チャット、SNS、メール、そして文章を自動で作ってくれるAIツール。
毎日、どれか1つ以上は利用している人が多いと思います。
これらは、すべて書いて伝える文章。
書く技術はコミュニケーションの重要なスキルになっています。
便利になった一方で、こんなことを感じる場面も増えていませんか?
- 返信は来たけれど、どこかよそよそしい
- メールを読んでも、結局何をしてほしいのか分からない
- チャットやSNSの文面が軽すぎて、不安になる
コミュニケーションだけではなく、 ホームページを読んでも、何をしている会社なのかよく分からないケースもあります。
書き言葉でうまく伝えられないことが原因かもしれません。
文章を作る手段が増えれば増えるほど、 「丁寧で、読みやすく、安心して任せられる」と感じてもらえる書き言葉は、むしろ差別化のポイントになっています。
今回は、難しい文章術を身につけなくてもできる「伝わる文章」のスキルアップ術をお伝えします。
お役立ち資料 ホームページ作成からマーケティングのことまでよく分かる
1.どんな時に文章が信頼を左右するのか?
文章は、どんな場面で信頼に影響しているのでしょうか?
ここでは3つ見ていきます。
どれも特別な文章ではありません。
日々のちょっとした一文の積み重ねが、知らないうちに信頼を増やしたり、逆に減らしてしまったりしているのです。
1-1.ホームページの文章
初めての方は「どんな会社なのか」「相談しても大丈夫か」を判断するのがホームページです。
抽象的でよくわからない、何をしている会社なのかわからないホームページを見かけたことはありませんか?
会社の印象を決める場では、文章でいかにうまく伝えられるかが信頼を左右します。
1-2.取引先やお客様とのメール
問い合わせへの返信、見積もりや提案のメール、納期やスケジュールのご連絡など、日々のメールの一通一通が会社の印象になります。
同じ内容でも、文面がそっけなかったり、説明が足りなかったりすると、「この会社に任せて大丈夫かな」と感じさせてしまうことがあります。
1-3.チャット、SNS
気軽なやり取りができる反面、友達同士の延長のような言葉遣いづかいになってしまい、会社のアカウントとしては軽く見えてしまう場合があります。
ここでの一言一言も、会社の姿勢として受け取られるため、適切な言葉遣いは重要です。
2.伝わらない文章と伝わる文章の違い
では、印象はどこまで変わるのでしょうか?
ここでは、「伝わらない文章」と「伝わる文章」の違いを見てみます。
よくあるのが「良いことを言っているのだけれど、結局何を言いたいのかわからない文章」です。
きれいな言葉ですが、これだけでは、「どの地域で」「どんなお客様の」「どんな課題を」解決してくれるのかが分かりません。
伝わる文章にするなら、最初の一段で「誰のために何をするのか」をはっきりさせます。
ブログであれば、書き出しの一段で「誰に向けた記事なのか」「この記事を読むと何が分かるのか」を一文で伝えられると、読み手は安心して読み進められます。
これらが具体的に書かれているかどうかで、伝わり方は大きく変わります。
3.文章のコツその1:誰に何をどうしてほしいのかを先に決める
伝わる文章を作る一つめのコツは、書き始める前に「誰に」「何を」「どうしてほしいのか」を自分の中ではっきりさせておくことです。
例えば、メール本文を書くときには、次の3つを1行で言えるかどうかを確認します。
- 誰に向けて書くのか
- このメールで何を伝えたいのか
- 読んだ人に最終的にどうしてほしいのか
- 既存のお客様に
- 納期変更の理由と新しい日程を伝えて
- 安心してスケジュールを組み直してほしい
ここまで言葉にできれば、必要な情報と、不要な情報の線引きがしやすくなります。
ホームページやブログの文章にもそのまま使えます。
ホームページで決めることの例
- どんな人に向けたページか
- 今このページで一番伝えたいことは何か
- 読み終わった人に、問い合わせ、資料請求、別のページへの移動など、どんな行動を取ってほしいのか
ブログで決めておくことの例
- 誰のどんな悩みを扱っているのか
- 記事全体の結論やメッセージは何か
- 読み終わったあとに、どんな気づきや行動につなげたいのか
このような3つを先に決めてから書き始めると、読み手にとって分かりやすい文章になります。
もっと洗練させたいなら、過去の記事で紹介した「書くこと問答」もおすすめです。
問いに答えていけば、ギュッと書くことの要点がまとめられるので、大変おすすめですよ。
3-1.生成AIでも活用できる
生成AIで文章作成を行う場合も、この3つを指示の中に入れておくと、出てくる文章がぐっと現場に近づきます。
誰に向けた文章なのか、読んだ人にどんな行動をしてほしいのかを指定せずに使うと、どこか他人事のような、ふんわりした文章になりがちです。
最初から精度の高い文章を作成できれば手直しの手間が省けるので、ぜひお試しください。
3-2.手直しにも活用できる
文章のブラッシュアップにもこの概念は活用できます。
自社ホームページの文章やブログ記事、あるいはビジネスメールを1つだけ選んで、この3つを書き出してみてください。
書いてみるだけでも、「ここがはっきりしていなかったのか」と気づきが生まれます。
4.文章のコツその2:読み手の負担を減らす「ていねいな書き方」を意識する
2つ目は、読み手の負担を減らす「ていねいな書き方」を意識することです。
ていねいな文章というと、敬語の正しさを思い浮かべるかもしれませんが、それだけではありません。
大事なのは、読み手が迷わずに読み進められるかどうかです。
例えば、次のようなポイントがあります。
- 初めての人でもわかる言葉を選ぶ
- 前提知識が必要なところは、一文で補足しておく
- 一文を長くしすぎない
- 段落を短めに区切り、話題ごとにまとまりをつくる
これだけでも、読みやすさはかなり変わりますよ。
ビジネスメールでは、毎回似たような内容を書く場面も多くあります。
問い合わせを受け取ったときのお礼、見積もりを送るときの一言、スケジュール調整をお願いするときの書き出しなどです。
こうした部分は、あらかじめ文例を用意しておくと、誰が書いても一定の丁寧さが保たれます。
社内メンバーの文章スキルにバラつきがあると、お客さまも戸惑うかもしれません。
ちょっとした工夫で良い文章が書ける環境を作りましょう。
5.AIと付き合うときに気をつけたいこと
「文章はAIに任せてしまえばよいのでは」
ここまで読んで、こう感じた方もいるかもしれません。
確かに、ゼロから文章を考えるより、叩き台としてAIに出してもらうと楽な場面は多いでしょう。
ただし、まるっとそのまま使うのは適さないことがあります。
- それらしい表現はしてくれるが、自社の具体的な経験には触れていない
- どの会社でも使えそうな、似たような言葉が並びやすい
- 長い文章の中で同じようなことを意図もなく繰り返している
このような特徴があり、万全とはいえません。
そのまま貼り付けるのではなく「自社の言葉」に直す一手間は書けるのが良いでしょう。
以下のようなことをチェックして手直しすれば、AIの便利さを活かしつつ、会社の信頼を守ることができます。
- 実態と違うことを書いていないかどうか
- 自社なら使わないであろう言い回しが入っていないかどうか
- 無意味な繰り返しがないかどうか
6.まとめ
- 書く前に、誰に何をどうしてほしいのかを決める
- 初めての人でもわかる言葉を使う
- 前提知識が必要な部分はできるだけ専門用語なしで書く
- AIはあくまで候補を出す相棒として使い、最後は自分の目で整える
伝わる文章というと、文才や国語力が必要だと感じるかもしれません。
しかし、このような少しずつの調整や積み重ねで、文章力は向上し「伝わる」ようになります。
私が実際にそうでした。
「何を書いてあるのかよくわからない」
など言われた経験がある方は、ぜひお試しください。
試してみて、上手くいかないことなどがあればお問い合わせも歓迎です。